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「ここだけの話」「大きな声では言えない」/auの裏キャッシュバック

   

2015年12月も半ば、この週末、各地のケータイキャリア販売店で様々なイベントが行われているようです。

私も仕事の休みを利用して販売店をいくつか回ってみたのですが、かなり強力なauの販売攻勢に出会いました。

 

キャリアと販売代理店

日本全国auというキャリアは同じでも、販売代理店はそれぞれ全く違います。大きな代理店であれば販売店もかなりの数を抱えているでしょうが、数店舗しか持っていない代理店もあります。

そしてその代理店ごと、店舗ごとでキャンペーンの内容は大きく異なるようです。これは、その代理店の体力によっても違ってくるでしょうし、経営方針によっても違ってくるものと思われます。

どんなにドコモやau、ソフトバンクの本体が儲かっても、代理店に対してキャリアからお金が出なければまったく儲からないのが販売代理店の宿命です。

本来キャリア本体と販売代理店は一つのブランドを支えるパートナーであり、持ちつ持たれつの関係でなければならないはずなのですが、やはりキャリア本体と代理店とでは同じ企業ではないので、儲けのためにキャリアが代理店を犠牲にするケースもあるでしょうし、逆に生き残りのためにキャリアの意思を無視してでも儲けに走る代理店も存在するわけです。

どの販売代理店も、当然つぶれるわけにはいかないわけです。

利益を出すために無茶な販売をする必要があるのであれば当然キャリアの意向を無視してでも数字を取りに行くこともあり得ます。その差が割引金額の差であり、キャッシュバックのあるなしの差でもあります。

「ここだけの話」でキャッシュバック

ということで、それを踏まえて今回私が出会ったのは、無料抽選会を実施することで集客を図り、その後抽選会を終えた顧客に対してアンケートを実施してスマホの新規契約につなげていくという手法でした。よくあるパターンです。

その担当者は私にこう言いました。

 

「2台同時に他社からauにのりかえてもらえれば、今なら1台あたり5万円キャッシュバックしますよ」

 

これが本当なら非常にお得な話です。私はすぐに聞きました。「5万円キャッシュバックって、現金ですか?」

 

「いえ、商品券です」

 

なんだ、商品券か・・・と思うなかれ、商品券でも金券ショップで換金すれば多少金額は減っても現金に早変わりします。必要な商品を購入するのなら、現金とまったく変わりません。

さらに、今回私が話を聞いた店舗は商品券でしたが、依然として現金でキャッシュバックを実施している店舗も存在します。

そしてどのお店でもこういうのです。

 

「大きな声では言えないんですけど、他ではやってないキャッシュバックが今だけ、うちにはあります」

 

どうしてわざわざこういう言い回しをするのでしょうか。

ユーザーにお得で訴求したい内容があるのであれば、大きく宣伝して集客すればいいのです。それができない理由は明確です。

 

「ここだけの話なのですが」、「大きな声では言えないんですが」という言い方をするのは、それが外に漏れては都合がよくない内容だからです。

つまり、業界全体として、「キャッシュバックはやめよう」という不文律が存在し、それを遵守していく意識が各キャリアに存在しているはずなのに、それを無視してキャッシュバック、もしくはそれに類する割引を実施しようとしているからです。

 

しかしいくら隠そうとしたって同じことです。これだけ各個人がインターネットやSNSを通じて自分の意見や情報を発信できる時代になっているのですから、そんな情報はすぐに回ります。

つまり、「ばれたらばれたで仕方ない」という意識の元、そうしたキャッシュバックは継続されているのです。

「ばれたら怒られるかもしれないけれど罰則があるわけでもないのだからばれた時に考えよう」。これです。

 

「キャッシュバックは悪」という現在の見解

しかしキャッシュバックは、ユーザー側からすればメリットは大きいのだからどんどんやってくれた方がいいじゃないか、というのが頻繁に買い替えを実施する人の意見。

そんなところでお金を使うくらいなら、長く同じキャリアを利用している人の料金をもっと引き下げてくれ、というのが買い替えをあまりしない人の意見。

それぞれ言い分があるのですが、総務省が肩を持つのは後者の意見です。

特定の、「買い替えが多いユーザー」にのみ恩恵をもたらすキャッシュバックは悪、これが総務省の見解です。おそらく今後も「キャッシュバックをどんどんやってよろしい」という展開になることはないと思われます。

 

キャリアごとにも、このキャッシュバック問題に関しては取り組みに差があります。

比較すると、auとソフトバンクに比べるとドコモが最も厳格かもしれません。逆に一番派手にキャッシュバックをいまだに行っているのはauではないでしょうか。

これは個人的に各販売店を回ったり、ツイッターなどで拡散されているキャッシュバック情報などを総合的に判断した印象です。

しかし今後は、今よりももっともっと、キャッシュバックについては厳格に管理されていくことが予想されます。

2016年の春商戦が終われば、またスマホ業界はガラリと内容を異にしているかもしれません。

 

継続利用前提の高額キャッシュバックは魅力が薄い

個人的には、ドコモで眠らせている回線がまだ少し残っているので、実はauにいい案件があればMNPを検討しようかと思って販売店で話を聞いてきたのです。

そこで出てきたのがそうした高額キャッシュバックの話だったわけです。二台で10万円分の商品券はかなり魅力的ではありますが、いかんせん、継続利用を前提とするMNP購入サポート特約が前提としてついてくるため、メリットはないと判断しました。

ドコモでいうところの端末購入サポートです。

 

つまり、購入から一年以内に解約をしたり指定プランを外したりすると、解除料金として3万~4万程度の違約金が発生するという契約です。

そうなると、即時解約はもちろんできませんし、契約維持をしていくしかありません。契約維持を指定プランでしていこうとすると、ランニングコストが月あたり6000~7000円程度かかりますので、年間でキャッシュバック分を軽く上回ります。つまり、あくまで継続利用をしていこうというユーザーでなければうまみがないのです。

いわゆるスマホ端末を格安で入手することを目的とした「ケータイ乞食」的な手法は、この中では実施しようがありません。MVNO利用を前提とした端末入手もできません。

 

流動性低下後のスマホ市場の未来

見事にキャッシュバック目的・端末入手目的のMNPユーザーを排除することに成功したこの仕組みは、すでにドコモ、au、ソフトバンクで採用されており、この仕組みの中であればむしろ、キャッシュバックは一つの競争の手段として実施してもいいのではないかと思わなくもありません。

キャッシュバックを完全に悪として排除すれば、それだけキャリア間の流動性は低下するわけなので、「競争させたい」と考えている総務省の気持ちに反するはずです。

もし、今後スマホ料金の引き下げと端末割引の制限が実際に行われれば、キャリア間の移動はごくごく少数の物好きでなければ実施できない状況になっていく可能性があります。

そうなってきたときに、とにかく「競争させたい」総務省は、また別の流動性向上のための施策を考え始める可能性は十分あり得ます。

そうした、世の中の変化についていきながら、ふとした時に発生する台風の目をうまくつかんでいくことが、最も賢くお得にスマホ業界を渡っていくコツかもしれません。

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