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ドコモの富士通・ARROWS~歴代ARROWSを振り返る・Dシリーズまで~

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現在NTTドコモの格安プランdocomo with(ドコモウィズ)の対象機種として人気を集めている、富士通のarrows Be F-05J

今では完全にドコモのスマホブランドとして一定の知名度を得てきたと思いますが、その道のりにはかなりの紆余曲折がありました。

普段なかなか振り返ることがないため、ずいぶん前に書いた「歴代Xperia全編歴代Xperia後編」と同じように、今回はarrowsの歴史・歴代ARROWSについて詳細を振り返ってみようと思います。

関連記事:「arrows Beはお勧めか/ドコモウィズ対応

【番外編】「Tブランド」東芝の時代

arrowsを時系列で語ろうとすると、どうしても初期の富士通東芝時代に触れておく必要があります。そのため、番外編として東芝編を一番初めに持ってきました。とりあえず参考程度にお付き合いください。

 

 2009年6月20日 T-01A ドコモ初のスマートフォン
Windows mobile端末。
感圧式タッチパネル。
 2010年6月18日  dynapocket T-01B 静電容量式タッチパネル。
QWERTY配列キーボードあり。
Windows mobile端末。

 

当時のことをどれくらいの方が覚えているかわかりませんが、時はまだ、スマートフォンというものがまったく世間に認知されていなかった時代にさかのぼります。

その後携帯部門を富士通と統合することになる東芝は、ドコモ初のスマートフォンを発売しました。

2009年のことです。

ドコモ初のスマートフォンはXperiaだったよね、と思っている人も実は多いのですが、AndroidスマートフォンとしてはHT-03Aという機種がXperiaよりも先にあり、さらにこの東芝のT-01Aが、Windows端末としてHT-03Aよりも約一ヶ月ほど先に発売されていたのです。

T-01Aは、今ではまったくお目にかかることができない抵抗膜式、いわゆる「感圧式」のタッチパネルを採用しており、操作する際に今のAndroidやiPhoneのような操作性とは違い、心持ちグッと押し込む感覚で操作する必要があるという変わり種でした。

初代のスマホなので仕方ないといえば仕方ないのですが、非常に使いにくい機種でした。

 

その後継機種としてのT-01Bでは、今でも利用されていて馴染みのある静電容量式タッチパネルに進化するのですが、この機種も結構な使いにくさでした。

ちなみに私はこのT-01Bを何故か所有していました。今となってはどういう意図で購入したのか全く覚えていませんが、このころの端末代金に大きな金額をかけた記憶がないので、おそらく今ではもうお目にかかることができない、一括0円系のキャンペーン等が実施されていたタイミングで購入したものと思われます。

その後、初代Xperiaに買い替えた時に感じた、「なんて使いやすいんだ!」という衝撃が忘れられません。今久しぶりに初代Xperiaを触ってみると、これはこれで考えられないくらい使いにくいんですけどね。

 

ちなみにこのT-01Bは、横にスライドさせることができるタイプの機種だったのですが、スライドさせた下側にはハードのQWERTY配列キーボードが設置されており、タッチパネルとハードキーのどちらでも利用可能となっていました。どっちにしても使いにくかったのでつくづくこれは無駄なキーボードでした。

ちなみに初代Xperia SO-01Bの方が、T-01Bより先に発売されています。私は当時からパソコンを頻繁に利用していたので、当然の流れとしてAndroidよりもWindowsに魅力を感じていました。そのため先にT-01Bを買って、様子を見ていたXperiaを後から購入したわけです。

最初からXperiaにしておけばよかった、と思ったのは言うまでもありません。

 

富士通東芝・Tブランドでのスタート

2010年12月17日 REGZA Phone T-01C 富士通東芝のドコモ製初スマートフォン。
Android端末として日本初の防水スマホ
ワンセグ・赤外線・おサイフケータイに対応。
2011年8月7日 F-12C 「F」ブランド初のスマートフォン。
2011年11月18日 REGZA Phone T-01D 富士通が開発を担当した初スマホ。
デュアルコアCPU搭載

 

REGZA Phone T-01Cという新星

ここからが、いよいよ富士通が全面に出てくるARROWSの前段階です。前2機種は完全な東芝ブランドでしたが、T-01Cからは「T」を冠してはいるものの事実上の富士通ブランドと考えていいでしょう。

そしてこのT-01C、発売からかなりの人気を博した機種でもありました。

まずそのデザイン性。当時のスマホとしてはかなり目を引くデザインでした。そしてスマートフォン初の防水対応

今となってはAndroid端末ばかりかiPhoneさえも防水に対応していて当たり前になっていますが、当時は「防水スマホ」というだけで画期的な最新機種としてもてはやされました。

さらに、T-01Cは、スマホが当時対応していなかった赤外線やワンセグといった、いわゆる「ガラケー」機能を搭載したことで、「スマホに変えたらガラケー機能はあきらめなければならない」と考えられていた当時の常識を打ち破る機種だったのです。

発売日からバカ売れで、予約をしないとなかなか手に入らないくらいの人気だったと記憶しています。

しかし、このT-01Cの人気が、のちに大きなトラブルへの引き金となり、同時に「スマホとは何か/どういうものなのか」という意識を世間一般に投げかける役割を果たしたのでした。

 

T-01Cの憂鬱

それまでにない防水などの機能を搭載して人気を集めたT-01Cですが、一方で販売後は大きな問題を抱えました。

それは様々な故障トラブルでした。

今考えればむしろそれは故障というよりもスペックの問題だったり、そもそもの品質の問題でしかなかったのでしょうが、ある程度安定して利用することができるガラケーに慣れたユーザーにとって、「電池が持たない」、「電源が落ちる」、「操作ができない」、「発熱がひどい」などの症状は、到底我慢できるものではありませんでした。

故障修理を何度繰り返しても改善しない、という症状も多く、「スマホ」の問題点をあからさまに露呈する形になりました。

以後かなりの期間続くAndroidスマートフォンの不安定な動作は、より一層「やはりiPhoneでなければ」という世間の意識を強固にしたといえるかもしれません。

しかしご存知の通り、ドコモのiPhoneはその後、2013年にようやくiPhone 5sが発売されたのが最初であり、それまではiPhoneという選択肢がなかったため、Android機種で我慢するか、我慢できないユーザーはソフトバンクなりauなりにMNPで転出することになりました。

ドコモが圧倒的にMNP市場において負け続け始めたのも、この頃からだったのではないかと思います。

 

ARROWSに至る道

まだその当時は、今のように発売される新機種すべてがスマートフォン、というような状況ではなく、フィーチャーフォン(ガラケー)の選択肢も多数ありました。スマホについては手探り状態で、少しずつ前に進んでいるような形でした。

そんな中2011年に発売されたF-12Cは、当時のスマホの中でも比較的コンパクトで持ちやすい、どちらかというと女性や年齢層高めのユーザーに人気を集めました。

操作性も、当時のスマホとしては悪くなかったと思います。ただ、この同時期にXperia acro SO-02CGalaxy S2 SC-02Cが発売されており、多くのユーザーはこの両機種を選びました。

操作性はGalaxyが頭一つ抜けており、Xperiaはこの2011年、arcからacro、そして小型のXperia rayという流れで人気を固めつつありました。数年後に展開される「ツートップ」の下地はこの頃から既にみられていたわけですね。

2011年秋にはT-01Dが発売され、これはこれで悪くなかったのですが、世間の流れはXperiaやGalaxyに傾いていたような印象でした。T-01Cの悪い印象も尾を引いていたのかもしれません。

 

ARROWS(アローズ)の登場

初ARROWSはタブレット

2011年の後半に、富士通の「ARROWS」は初めてドコモにおいて登場します。

ドコモで初めて発売された「ARROWS」は、スマートフォンではなくタブレットでした。2011年10月19日に発売されたARROWS Tab LTE F-01Dです。Galaxy Tab 10.1 LTEに次いで発売されたXi(クロッシィ)対応端末でした。

スマートフォンでは、その約一か月後の2011年11月25日にARROWS Kiss F-03Dが初めてのARROWSとして発売されました。

Xi対応スマートフォンとしては、11月24日に発売されたGalaxy S2LTE SC-03D、続いて12月15日にOptimus LTE L-01D、そして12月17日にARROWS X LTE F-05Dが登場しました。遅れて翌2012年の2月にはMEDIAS LTE N-04Dも発売され、初期のXi(LTE)対応スマートフォンはこの4機種でした。

 

2011年11月25日 ARROWS Kiss F-03D 女性向けFOMA対応スマートフォン
2011年12月17日 ARROWS X LTE F-05D 初のXi対応ARROWS。
デュアルコアCPU搭載
2012年1月20日 ARROWS μ F-07D  FOMA対応。
薄型軽量スマートフォン。
2012年6月27日  ― F-09D ANTEPRIMA ファッションブランド「ANTEPRIMA」とのコラボスマホ。
ベースはF-03D。
2012年7月20日 ARROWS X F-10D 初のクアッドコアCPU対応モデル。
2012年7月26日 REGZA Phone T-02D 最後のREGZA Phoneで最後の「T」ブランド機種。
2012年8月25日 ARROWS Me F-11D FOMA対応スマホ。
F-03Dの派生モデル。
2012年8月1日 らくらくスマートホン F-12D 初のらくらくスマホ。
FOMA対応。

 

問題点も多かったARROWS X LTE F-05D

Xi対応機種の中では、ARROWS X LTE F-05Dはデザインも洗練されており、いかにも人気の出そうな機種であり、その予想に違わぬ売れ行きだったのではないかと思います。

初期に人気を集めたREGZA Phone T-01Cからはまだ一年しか経っていなかったので、乗り換えるユーザーはまだそれほど多くなかったと思うのですが、どうしても我慢できなかったユーザーの一部に、乗り換え組もいたようです。操作性という面だけで見ればかなり改善されており、かなりの進化も感じられました。

ただ、不具合という部分では相変わらず頻発する傾向があり、ネット上などではこの頃すでに、「F」ブランドスマホはかなり叩かれる傾向にありました。デザインにだまされた、という意見も多かったですね。

まだ当時はスマホごとの当たり外れが非常に大きく、Xi初期の機種でもそれはありました。とりあえず私がその当時利用していたのはGalaxy S2LTEでしたが、この機種についてはほとんど不満はなかったです。

 

防水がない、韓国メーカーである、ということでサムスンのGalaxyは避ける人もいましたが、少しでも快適なスマホライフを送りたいと考えるのであればGalaxy、という時期でもありました。もちろんGalaxyにも問題点はありましたが、他の機種よりはマシ、という感じだったのかもしれません。少なくとも私は当時としては良機種だったと思っています。

日本メーカーが追い付いてくるまでは、このGalaxy一択の傾向はもう少し先まで続いてしまいます。

 

人気のXperiaは、Xiスタート時には端末を販売しておらず、初のXi対応Xperiaは2012年夏に発売されたXperia GXまで待つ必要がありました。Xperiaも、この頃はまだまだ問題点も多かったです。

ARROWS X LTE F-05Dにやや遅れて発売されたARROWS μ F-07Dは、Xi非対応のFOMA端末でしたが、F-05Dに比べると比較的安定して使えていたような記憶があります。薄型軽量で、なかなか魅力のあるスマートフォンでした。今ではもう、ここまで薄型軽量というモデルを見ることはできませんので懐かしいですね。

 

宿痾を抱えるARROWS X F-10D

2012年夏モデルには、大々的に「クアッドコアCPU」をアピールしてARROWS X F-10Dが発売されました。

個人的にはこの機種は、デザインがいただけませんでした。どちらかというと男性向きで、女性には不向きだったのではないでしょうか。

さらに、せっかくクアッドコアCPUを搭載していたのに、RAMは1GBだったこともあり、本当にクアッドコアCPUの実力を発揮できる機種なのだろうかとなんとなく不安になった記憶があります。もちろん買いたいという気持ちは起こりませんでした。

しかし多くのユーザーが、「クアッドコア」に魅力を感じ、この機種を購入しました。そしてその後、怒りのコメントとしてネット上などで批判が繰り広げられたのです。この時点では、ARROWS X LTE F-05Dと同じ轍を踏んでしまっていた感じでしたね。かなり残念な感じでした。

 

しかも2012年の夏から秋といえば、ドコモ全体としてスマートフォンの在庫が不足していた時期でもありました。

世界的にチップセットの供給不足が起こっており、なかなか製造ができない状況の中、F-10Dはその当時、クアッドコアCPUとしてNVIDIAのTegra 3を採用しており、そのため在庫が比較的潤沢にあったのです。

結果、買いたくなくても選択肢がないためにこれを買うしかない、というような状況が起こってしまいました。

 

ちなみに私はこのころ、やはり選択肢としては一択で、Galaxy S3 SC-06Dを購入しました。この頃からツートップ時代までがGalaxyの最盛期だったと思います。Galaxy S3も、どこに聞いても相当数の予約が入っていたような記憶があります。早めに手に入れることができただけでラッキーでした。

そしてARROWS X F-10Dは、F-05Dに続いて悪い意味で記憶に残る機種になってしまったのです。

 

ARROWSの暗黒時代

ここまで見てきて、「ARROWS、いいところがないじゃないか!」と思われたかもしれませんが、まさにこの当時は、ARROWSの暗黒時代でした。正直、いいところがありませんでした。

「買ってはいけない」という本が昔ありましたが、それに書かれてしまうくらいの勢いだったと言ってもいいと思います。

この頃のARROWSのことを覚えている人は意外に多く、そういう人たちは「二度とARROWSは買わない」という意見を持っている人たちも多かったりするのですが、実はこの後、もう少し時間はかかるのですが、ARROWSは劇的に変わっていきます。

今ではそんな暗黒時代の面影はほとんどありません。

少し長くなってきたので、後半へと続きます。→「ドコモの富士通・arrows~歴代ARROWSを振り返る・2017年まで~

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