ドコモの格安プランとして、docomo with(ドコモウィズ)が2017年夏の目玉となっています。
今までのドコモでは考えられないくらいの低料金を実現できるということで、特にコストを重視したい人や、格安スマホを実際に検討していたユーザーにとって、チェックしないわけにはいかないプランと言えます。
そのdocomo withでは、適用条件として対象機種が指定されています。
2017年夏モデルからは2機種がdocomo with対応機種に設定されており、そのうちの一つ、arrows Be F-05Jを実際に購入して利用してみました。
もう片方のdocomo with対応機種であるGalaxy Feel SC-04Jと比較してどういう違いがあるのか、どちらがおすすめなのか、確認してみました。
SIMロック解除実施後の注意点などまで、合わせて解説していこうと思います。
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目次
arrows Beが向いている人とは
arrows Be(アローズ・ビー)は元々、スペックを極力抑えて安価に販売されているエントリーモデルのスマートフォンなので、ハイエンドモデルであるXperia XZsのように最高の性能が期待されているわけでも、かゆいところに手が届く特徴を兼ね備えているというわけでもありません。
逆に、最低限利用していくのに不都合はないレベルの機能のみを搭載しているスマートフォン、と認識した方がいいでしょう。
ただ、当時の時点で格安プランであるdocomo with(ドコモウィズ)を利用するためには、このarrows BeかGalaxy Feel(その後MONO MO-01K、AQUOS sense SH-01K、らくらくスマートフォンmeが発売)のいずれかを購入する必要があったわけです。
そこで、Galaxy Feelとarrows Beを比較した場合にどちらの機種を選べばいいのか、ということなのですが、同等モデルのSIMフリー版端末でも人気が高く、なおかつ価格も安いarrows Beを選択することにしました。
もしここで、価格よりもスペックを重視したい場合には、Galaxy Feelの方が全体的なスペックはほぼarrows Beよりも高めになっています。その代わり若干価格も高めです。
ただ、スペックにこだわり始めると、最終的にはdocomo with対象外のXperia XZ1やarrows NX、AQUOS Rなどが視野に入ってきてしまうので、あくまでdocomo with対象機種の中で、価格重視かスペック重視か、という考え方で選択するようにしましょう。
あとは見た目の好みや持った感触など、自由に選択すればいいと思います。
関連記事:「docomo with対象4機種比較」
arrows Beの特徴を簡単に理解する
簡単にarrows Beのスペックを確認しておこうと思います。同時にGalaxy Feelと比較してみます。
arrows Be | Galaxy Feel | |
カラーバリエーション | ブラック・レッド・ホワイト | Moon White・Indigo Black・Opal Pink |
ディスプレイ | 約5.0インチ HD/IPS TFT |
約4.7インチ HD/Super AMOLED(有機EL) |
カメラ | アウトカメラ:約1310万画素 インカメラ:約500万画素 |
アウトカメラ:約1600万画素 インカメラ:約500万画素 |
OS | Android7.1 | Android7.0 |
バッテリー | 2580mAh (内蔵電池) |
3000mAh |
内蔵メモリ(RAM/ROM) | 2GB/16GB | 3GB/32GB |
LTE通信速度 | 受信時最大:150Mbps 送信時最大:50Mbps |
受信時最大:262.5Mbps 送信時最大:50Mbps |
Wi-Fi | IEEE 802.11 a/b/g/n | IEEE 802.11 a/b/g/n/ac |
サイズ | 約144(H)×72(W)×7.8(D)mm | 約138(H)×67(W)×8.3(D)mm |
質量 | 約141g | 約149g |
その他対応機能 | 防水防塵(IPX5/8 IP6X)・VoLTE ワンセグ・おサイフケータイ |
防水防塵(IPX5/8 IP6X)・VoLTE ワンセグ・おサイフケータイ 生体認証・ハイレゾ |
その他非対応機能 | 赤外線・生体認証・ハイレゾ | 赤外線 |
充電端子 | micro-B | micro-B |
SIMサイズ | nano SIM | nano SIM |
arrows Beのカラーバリエーションとしてブラック、ホワイトはよくある基本的なカラーですが、もう一色レッドが用意されているため、少し派手めのカラーが欲しい場合にはレッドを狙うといいかもしれません。
arrows Beのレッドは、軽くオレンジがかったレッドで、男性でも使いやすい色味かもしれません。
一方のGalaxy Feelの場合は、同じくブラックとホワイトに、あとはピンクが用意されています。
そのほかarrows Beの特徴として、防水防塵やVoLTE、おサイフケータイ、ワンセグなどにも対応していますし、米国国防総省が定めた米国軍用規格MIL-STD-810Gの14項目に準拠しているため、総合的な耐久性にも優れています。普通に利用する分には何の問題もありません。
注目しておきたいポイントとしては、昨今充電端子にUSB Type-Cが利用されている機種が非常に増えてきていますが、arrows Beは従来型の充電端子となっているため、ドコモの充電器でいえばACアダプタ05が必要となります。
SIMカードのスロットはnanoSIMサイズのスロットとなっており、SIMフリースマホに最近よくあるようなデュアルSIMには対応していません。
Galaxy Feelのスペックは、全体的にarrows Beよりも高く、ROM/RAMが32GB/3GBで電池容量も少し大きめの3000mAh、無線LANもIEEE 802.11acまで対応しており、ハイレゾ、生体認証(指紋認証)まで対応しています。
充電端子はarrows Beと同じく従来型のmicro-B対応となっています。スペック面でarrows Beの優位性としては、MIL規格に対応しており耐久性に優れているという点くらいで、それ以外のスペックはほぼGalaxy Feelがarrows Beを上回っています。
arrows Beの外観・持ちやすさ・操作性
スマートフォンの持ちやすさについては、実際に手に取って試してみないとわかりにくいと思いますので、ドコモショップ店頭などで一度触ってみるのがお勧めです。
特に持ちやすさは人それぞれ手の大きさが違うので、人から聞いた話も自分の手のサイズでは印象がまるで違うということも起こりやすいと思われます。
実際に手に取ってみれば、外観のイメージもつかめるとおもいますし、タッチパネルの操作性についてもある程度感覚がわかると思います。
個人的な印象としては、大きさは5インチということでちょうど手に持ちやすいサイズかな、と思いました。
私が今個人的に利用している機種の中では、ASUSのZenFone 3とサイズ感はほぼ同じで、重量も同じ140g台で非常に近いです。ただ、arrows Beの場合はそのサイズと重さで防水防塵および耐久性を兼ね備えているのでこれは優位な点と考えていいかもしれません。
タッチパネル感度は普通に利用する分には違和感を覚えることはありませんので安心して利用できると思います。
ただ、快適に動作するハイスペック端末と比較すると、やはり多少のカクつきを感じることも少なくありません。この辺りは体感でどこまで許容できるか、個人差があると思います。
文字入力については、富士通の特徴としてSuper ATOK ULTIASが搭載されており、様々なメーカーの入力方法をカバーし、自由度も高く、非常に便利に利用できます。一度Super ATOL ULTIASの便利さを体感すると、他の文字入力アプリはなかなか使えなくなってしまいます。
右側に電源ボタンとボリュームキーが配置されており、違和感なく利用できます。
ただし、富士通の特徴ともいえる生体認証はありませんので、今まで指紋認証や虹彩認証に慣れていた人にとっては使い勝手が悪く感じる部分もあるかもしれませんので注意が必要です。
arrows BeはSIMロックを解除してもau系SIMでは利用できない
arrows Beを購入後、auやソフトバンクのSIMや格安SIMで利用しようと考えている方向けの情報をお伝えしておこうと思います。
今回購入後、ドコモのMy docomoによるWEB受付で、即日SIMロック解除を実施しました。→「ドコモのSIMロック解除を実施してみた」
その上で、各社それぞれのSIMカードの動作確認をしてみました。ドコモ系SIMは基本的に当然利用できましたが、注意点が一点だけ。それは、au系SIMについてです。
mineo(Aプラン)およびUQモバイルのSIMカードは、どちらもarrows Beでは利用することができません。
SIMロックを解除しているのに何故?と思われるかもしれません。そもそも、富士通のSIMフリー版の同等機種であるarrows M04はmineo(Aプラン)で利用可能で動作確認もされているのだから、arrows Beでも動作しそうなものだと考えがちです。
しかし、現実にarrows Beでは、通信も通話も不可でした。
原因として、arrows Beの対応バンドがドコモに特化されており、auの周波数帯に対応していないことが原因と思われます。
もし、arrows Beをドコモで購入して、のちにauで利用中の家族に使わせようと考えていたり、au系の格安SIMを利用しようと考えているのであれば、利用できないという想定外の事態に見舞われてしまうので、要注意と言えます。
ソフトバンクについてはバンド1がドコモと共通なので利用できる可能性はありますが、実際に試したわけではないのでなんとも言えません。
arrows Beの対応バンド | 対応周波数帯 | |
国内 | FD-LTE | バンド1(2.0GHz) |
バンド3(1.7GHz) | ||
バンド19(800MHz) | ||
3G(W-CDMA) | バンド1(2GHz) | |
バンド6(800MHz) | ||
バンド19(800MHz) | ||
海外 | FD-LTE | バンド1(2.0GHz) |
バンド3(1.7GHz) | ||
3G(W-CDMA) | バンド1(2GHz) | |
バンド5(850MHz) | ||
GSM/GPRS | 850MHz・900MHz 1.8GHz・1.9GHz |
SIMロック解除を実施して他社SIMを入れて利用する場合の面倒さは、こうした対応周波数帯の問題にあり、実際やってみないとわからないという点が大きなネックとなります。
SIMロックを解除して海外SIMを入れたのに使えない、という場合にもこの問題が影響している場合もありますので、あくまで自己責任の上で利用するようにしましょう。
その点、SIMロック解除を実施しなくても利用できるドコモ系SIM、つまりOCNモバイルONEや楽天モバイル、mineo(Dプラン)やLINEモバイルなどであれば、基本的に問題なく動作しますので、もし格安SIM利用を検討するのであれば、ドコモ系SIMを中心に選ぶようにしましょう。
arrows Beのカメラ性能に期待してはいけない
なんだかんだで利用することも多いと思われる「カメラ機能」。あまりスマホの機能にこだわりはない、という人も、カメラだけは少し気になるということもあると思います。
arrows Be F-05Jのカメラ性能としては、スペック上ではアウトカメラ(メインカメラ)が約1310万画素、インカメラが約500万画素と、最低限の性能、というところです。
では、実際にarrows Beで撮影してみるとどうなのか、試してみました。
今回試してみたのは、カメラ性能には最も秀でていると思われるiPhone X、arrows NX F-01K、Xperia X Performance SO-04H、そしてカメラ性能には不満がありほとんど撮影には使わないZenFone 3、そしてarrows Beです。
実際に撮影した写真を掲載してもいいのですが、そのまま載せると容量がかなり大きくなりますし、かといって圧縮がかかると結局わかりにくいので、解説だけにしておきます。
まず、iPhoneとarrows、Xperiaについては、カメラ性能はやはり別格です。
私が普段何かを撮影しようと考えた時には、必ずこの3機種のいずれかを使います。好みもありますが、やはり個人的にはiPhone Xが最強です。鮮明に写りますし、拡大しても細かいところまでよく描写されており、なおかつ非常に心地よい色味の写真が出来上がります。
arrows Beで撮影した写真は、一見普通に撮れますので、特に画質が汚いとか、注目して見比べない限りは気にならないかもしれません。
ただ、やはり粗さは感じられますので、一度iPhoneなどの写真と比較してしまうと、その後はかなり写りが悪いように感じられてしまうと思います。
特に拡大するとそのあたりはよくわかります。iPhone Xだとしっかり写りこんでいる部分が、arrows Beではぼやけてしまいます。
個人的に、ZenFone 3よりはarrows Beの方がまだマシかな、と考えていましたが、微妙です。細かい描写はZenFone 3の方がやや上、そして明らかに違いが出るのが、近場に焦点を合わせたときの、バックの「ボケ」方です。これは明らかにZenFone 3が上です。
つまり、私がiPhone Xと比べると明らかに劣るので利用したくない、と思っていたZenFone 3のカメラよりもまだ、arrows Beのカメラ性能は劣ると考えてもいいかもしれません。なかなか微妙な結果ですね。
とはいえ、前述したとおり、普通に撮影することはできますので、比較してこだわらなければ、それほど気にしなくてもいいかもしれません。
結局は、docomo withを含めた安さにこだわるか、性能にこだわるか、というところです。
arrows Beのドコモ光・Wi-Fi環境下での通信状況
arrows Beの、ドコモ光のWi-Fi環境下での通信状況も確認してみました。
Youtubeなどの動画視聴に関しては、まったく何も問題なく利用が可能です。実際に速度チェックを行ってみても、かなりの速度が出ます。
高速Wi-Fiルーターとの相性も問題なさそうです。
arrows Be購入時にもドコモ光によるドコモ光パックはしっかり適用されますので、格安料金プラン実現ができます。フレッツ光からの転用がまだの場合など、docomo withに加えてドコモ光の利用は是非検討しましょう。
関連記事:「ドコモ光は本当にお得なのか」
arrows Be購入で格安プランを実現する
家族分合わせて合計2回線の場合で考えてみます。
シェアパック5でシンプルプランを利用し、かつarrows Be購入でdocomo with適用、さらにドコモ光パックも適用させることで非常に安い運用が可能となります。例としては以下の通りです。
【シンプルプラン・シェア5・docomo with・ドコモ光マンション/タイプA・ずっとドコモ割15年以上の場合】
<割引前>
1台目:980円+300円+6500円=7780円
2台目:980円+300円+500円=1780円
ドコモ光:4000円
合計:13560円
<割引後>
1台目:7780円ー800円ー800円ー1500円=4680円
2台目:1780円ー1500円=280円
ドコモ光:4000円
合計:8960円
2台プラスドコモ光でなんと1万円を切ります。この水準なら格安スマホにする必要はなさそうです。
もちろん、ここにarrows Beの端末購入代金や消費税、さらに補償等オプションをつけるとその分が追加されはするものの、長くarrows Beを利用すればするほど、安い料金をずっと維持できることになります。
通話はほとんど利用しない、データ容量は二人で月5GBなど条件はつくものの、今までのドコモでは考えにくい料金と言えます。
arrows Beは買いか
結論として、ドコモのarrows Beは、購入する価値があるのでしょうか。
忘れるわけにはいかない重要なポイントとしては、arrows Beが「docomo with対応である」という点ですので、そもそもdocomo withを利用したいと考えているのであれば、『買い』と言って間違いないでしょう。→「ドコモオンラインショップでの機種変更が圧倒的有利」
前述したように、スペックに少しでもこだわりがあるのであれば、Galaxy Feelという選択肢もありますが、国産かつコストを最低限に抑えたいという希望があるとか、耐久性がほしいという場合には、Galaxy Feelよりもarrows Beを選ぶべきなので、確実に「買い」です。
ただ、まだもう少し他にも選択肢がほしいという場合には、2017-2018年冬春モデルとしてAQUOS sense、MONOが発売されていますので、併せて検討してみてもいいでしょう。→「docomo with対象4機種比較/おすすめのスマートフォンはどれか」
今後もdocomo with対象機種は増えてくるでしょうが、今のところ完全に性能を抑えた廉価版モデルばかりが対象になっていますので、ハイスペックモデルもdocomo with対象として追加されるように期待したいところです。