基本的にケータイスマホと違い、固定の光サービスの乗り換えには様々な乗り越えるべき壁があります。
解約金くらいなら簡単なもので、何より最も面倒なのは物理的な工事が伴う、という部分ではないでしょうか。
だからこそ、各大手キャリアは血眼になりながら光回線の獲得に注力しているのです。つまり、一度光回線を獲得してしまえば、なかなか工事のやり直しをしてまで他社に移るメリットが得られにくいため、長期で自社にとどまるユーザーが増え、なおかつ家族を引っ張ってきてくれる可能性が出てくる、というわけです。
ということはやはり、auひかりを利用中の場合、あえてドコモ光にするメリットはないのでしょうか。逆にドコモ光を利用中の場合、auひかりにはしない方がいいのでしょうか。
auひかり、フレッツ光、そしてドコモ光を含むコラボ光について、検証してみました。
関連記事:「ドコモ光は本当にお得なのか」
目次
ドコモ光とauひかり
ドコモ光とauひかりには、根本的に大きな違いがあります。
ドコモ光はあくまでNTT東西の光ファイバー網を利用し、サービス提供のみをドコモが実施している形であり、ドコモが光ファイバー網というインフラを構築しているわけでも管理しているわけでもありません。
いわゆるNTTの「光回線の卸売り」を利用している状態であり、「光コラボ事業者」と呼ばれる事業者は、すべてNTTの光回線卸売りを利用しているのです。
一方でauひかりの場合、NTT東西の光ファイバー網を直接借りて自社サービスとして提供しており、場所によっては提携している電力会社や自社インフラとしての光ファイバー網を利用しているところもあり、完全にNTTからの脱却とまではいかないものの、ある程度独立したサービスとしてユーザーに光サービスが提供されているのです。
ともあれ、だからどちらのサービスがいいのか、という判断基準にはなりえませんので、ここはもっと総合的な視点で選択していく必要があります。
要は、ユーザーとしては光回線が快適に安くつながればいいのです。
光が先かスマホが先か/ドコモかauか
「ニワトリが先か、卵が先か」、ではないですが、「光が先か、スマホが先か」という状況が生まれています。
つまり今現在、スマホはドコモなのかauなのか、光はNTTなのかドコモなのかauなのか、まずそのベースによって考える起点が変わってくるわけです。
最も先に考えるべきは、やはり光です。何故なら、前述したように最も切り替えが難しいからです。できることなら、光に合わせて移動体であるケータイ/スマホも選択していくのが正しい方法です。
ただ、当サイトに来ていただいている方には、元々ドコモユーザーの方、またはauからドコモへの変更を検討されている方が多いと思われます。
にもかかわらず、今現在auひかりにしているのなら、切り替えるのも大変だしauのままがいいよ、という展開になるとそこで話は終了してしまいます。
もし、自宅の光が現在auひかりになっているドコモユーザーの方がいるとすれば、これは家族の誰かにauユーザーがいるのか、または以前いたのか、ということだと思いますが、当然のことながらドコモを利用しながらauひかりを利用するのは非常に相性が悪いのでもったいないです。
大きく損をしているわけなので、これは早期に変更を検討する必要があります。
一方で、もし自宅にまだ光がないとか、NTTのフレッツ光を利用しているという場合には、これは様々な選択肢が広がります。第三の選択肢としてMVNOの格安SIM利用による「コラボ光」も現実的に検討できそうです。
ただし、現在まだドコモやauを利用しているユーザーが、いきなり格安SIM+ISPコラボ光はなかなかハードルも高いということは覚えておきましょう。
auひかりとドコモ光料金比較
自宅がすでにauひかりを利用中の場合、ドコモ光に変えるメリットが果たしてあるのでしょうか。
以前は似たり寄ったりだったauとドコモの料金体系ですが、最近は細かく内容に違いもみられるようになってきており、単純な比較がなかなか難しくもなってきています。
ですが、とりあえず光回線サービスのみでauとドコモの料金を比較した場合、auがお得に見えます。
まず純粋に光の料金を見てみます。
auひかり ホーム | ドコモ光 戸建 | auひかり マンション | ドコモ光 マンション | |
1年目 | 5100円 | 5200円 | 3800円 | 4000円 |
2年目 | 5000円 | 5200円 | 3800円 | 4000円 |
3年目以降 | 4900円 | 5200円 | 3800円 | 4000円 |
戸建てプランでもマンションプランでも、auひかりの方が安くなっています。
auひかりホームについては、1年目は5100円、2年目が5000円、3年目移行が4900円ですが、1年目の段階ですでにドコモより安いです。auひかりマンションの場合、およびドコモ光は利用年数による料金の変動はありません。
auひかりの料金はインターネット専用で出してあるもので、電話機能をつけるとauひかりは+500円がかかります。ドコモ光電話も同じく500円がかかります。auひかりにおいて、もしau スマートバリューを適用させたい場合には、電話機能(+500円)は必須です。
ちなみに、auひかりホームの料金は「ずっとギガ得プラン」で算出しているため三年更新となります。この点に関しては後述します。
続いて、auスマートバリューとドコモ光パックを比較してみます。
auスマートバリューとドコモ光パック
両者にはそれぞれ、割引額に大きな違いがあります。
au | 家族全員が割引対象 | ドコモ | 光契約回線が割引対象 |
データ定額1 | 永年500円OFF+ 最大二年間434円/月OFF |
なし | なし |
データ定額2・3 | 永年934円OFF | データSパック | 最大一年間500円OFF |
データ定額5・8・20 | 永年934円OFF+ 最大二年間476円/月OFF |
データMパック | 永年800円OFF |
ウルトラLパック ウルトラLLパック |
永年900円OFF 永年1100円OFF |
||
データ定額10・13・30 | 永年934円OFF+ 最大二年間1066円/月OFF |
シェアパック10 | 永年1200円OFF |
シェアパック15 | 永年1800円OFF | ||
ウルトラシェア50 | 永年2500円OFF ※戸建の場合 |
||
ウルトラシェア100 | 永年3200円OFF ※戸建の場合 |
とりあえず一目見て大きく違う点が一点。割引が、家族全員に適用されるのか、契約回線にのみ適用されるのか、という点です。
これは非常に大きな違いです。つまりauの場合、家族の回線数が増えれば増えるほど割引額は大きくなります。ドコモの場合は回線数が増えても割引額は変わりません。
なんだ、ということは圧倒的にauが有利じゃないか、と思われるかもしれません。ですが、それは早計です。
一見、光とのセット料金だけ見るとauの方が安く感じるかもしれませんが、話はそう簡単ではありません。
まず大前提として、auスマートバリューは、ネットに電話がセットであることが大前提です。つまり、auスマートバリューを適用しようと思うと、電話分の500円が強制的に追加されます。つまり電話を元々必要としないユーザーにしてみれば、単純に割引が毎月500円減るのと同じことです。
永年934円引きと言いますが、必要ない電話の500円がかかってくることを考えれば。永年434円引きと言い直した方がいいでしょう。
ドコモの場合はデータMパックでも永年800円引きです。長く使えば使うほどドコモ有利です。
さらに、そもそものスマホの料金システムが違います。ドコモにはauにはないシェアパックという料金プランが存在し、データ容量をシェアグループ内で分け合うことができ、加えてその場合子回線の料金が実に安く利用することができるのです。
そのため、各回線に割引がかかる分auの方が回線数が増えれば増えるほどauスマートバリュー適用回線は増えはするのですが、その分auの利用料金は加算されます。
しかしドコモの場合、回線数が増えてもドコモ光の割引は変わらないのですが、シェアグループ子回線が増える形になるので毎月のコストはauよりもはるかに安いです。
つまり、ドコモ光による割引が各回線に適用されなかったとしてもケータイ回線を含めた総額では、決して負けていないわけですね。
さらにドコモの場合、長期利用者に対しては「ずっとドコモ割」も重複適用しますし、さらに特筆すべきはdカード GOLDの10%のポイント還元です。
ドコモ光利用分も10%還元※の対象となるため、事実上光の料金は1割引きになると考えていいわけです。(※毎月のドコモのケータイ/ドコモ光利用料金の1,000円(税抜)ごとに税抜金額の10%還元/利用料金1,000円(税抜)につき100ポイント)
ドコモ光には、これだけのメリットがあります。
・ドコモ光電話なしでも永年800円引き(データMパックの場合)
・シェアパックにより回線数が増えれば増えるほど有利
・dカード GOLDにより事実上1割引
・auスマートバリューには電話(500円)が必須
・auスマートバリューを前提にすると、戸建でもマンションでもドコモ光より高い(固定電話不要な人が不利)
・回線数が増えるとauスマートバリューは回線ごとに適用するが、その分回線料金が上がる
既にドコモ光を利用中で、家族が他社回線利用の場合
では現在すでにドコモ光を利用しており、家族にau回線など他社回線がある場合はどうでしょうか。
この場合、わざわざauひかりに変更するよりも、確実にその家族のau回線をドコモ回線に変更する方がメリットはあります。
それぞれの回線がどれくらいの通信容量を必要としているかによっても変わりますが、いずれにしてもドコモにMNPで回線を持ってきて、シェアパックを組むのが最高の形と言えます。
家族の中で別々のキャリアが存在する状態が現状最も損をしてしまうパターンなので、ここは家族を説得してドコモに集約してしまうのが最良の方法です。
その際、auの解約金だったり端末代金の割賦残金などが気になるところですが、ケースによってはそれらが仮にかかったとしても早めにドコモに変更する方がお得になるケースも十分あり得ますので、しっかりシミュレーションしてみましょう。
フレッツ光を利用している場合
auひかりではなく、またドコモ光に転用もしておらず、NTTフレッツ光を利用中の場合、もし現在ドコモを利用しているのであれば、これは確実にドコモ光に転用するのが最もお得です。→参考:「ドコモ光は本当にお得なのか」
ただし、もしMVNOの格安SIMを利用している場合には、第三の選択肢が開けてきます。
フレッツ光からの選択肢の一つ目は、やはりドコモ光への転用です。→「ドコモ光への転用のメリットデメリット」
二つ目の選択肢はフレッツ光解約後のauひかりへの切替えですが、ドコモ利用中であればこの選択肢はなしですね。
そして三つ目の選択肢は、ドコモ光もauひかりも利用しないという選択肢です。かといって、フレッツ光を継続するわけでもありません。ドコモ光以外の光コラボを利用するという方法です。
NTT東西の光卸は、ドコモに光回線サービス提供の道を開いたと同時に、他の多数の事業者に対しても光回線サービス参入の道を開きました。つまり光コラボ事業です。
多くのISPは自社光コラボを開始し始めました。たとえば、OCN光、NURO光、BIGLOBE光などなど、多数の光卸サービスが各ISP事業者・MVNO事業者から提供され始めたのです。
そしてISP事業者は同時に光コラボ事業者となり、そしてもう一つ、MVNO事業者という側面を持っていたりするわけです。
つまりはMVNO+MVNO事業者が提供する光コラボ利用こそが、第三の選択肢となるわけです。
コストパフォーマンスという意味では、確実にこれが最強です。
フレッツ光は光コラボ事業者が提供する光サービスへ「転用」します。スマホはMVNOに切り替えます。劇的なコストダウンが実現するはずです。
ただし注意すべきは、ドコモやauといった大手キャリアからのバックアップがなくなり、すべて自己責任の世界になる上に、光コラボを利用すれば後戻りができないため、覚悟が必要である、という点です。
フレッツ光からドコモ光はお得ではない?
フレッツ光ユーザーの中には、実はドコモ光に変更することに対してメリットがない、という層が一定数いるようです。
その代表的なケースとしては、フィーチャーフォン(ドコモケータイ)利用の場合です。
この場合、カケホーダイプランをそもそもまだ利用していないというケースがあるため、ドコモ光にしてもドコモ光パックの割引適用がされないため、お得さを感じられない、というパターンですね。
それはそれで間違いではないのですが、この場合のドコモ光にすることによるメリットとしては、請求をドコモにまとめてしまうことができるため、dポイントが一緒にたまっていく形となりますし、まとまることで別々に請求が来る煩わしさがなくなるという点があります。
さらに、フィーチャーフォンであっても期間限定割引が500円×最大12ヶ月適用されるため、約6000円の割引が適用されるのに加えて、dポイント10000ポイントプレゼントキャンペーンも実施されているため、総額で16000円分はお得となるわけです。
そう考えると十分お得といえるのではないでしょうか。
スマホ利用中で家族回線がない、データSパック利用の場合なども、まったく同じです。その場合にはdカード GOLD利用によってかなりポイント獲得効率が上がる形となり、確実にフレッツ光からドコモ光に変更した方がお得となります。
auひかりの落とし穴
ドコモユーザーであればドコモ光有利、コストでは光コラボ有利、という状況の中で、さらにauひかりの注意点を続けておきます。
エリアがドコモ光より狭い
まずはエリアの問題です。
auひかりが提供エリア外であっても、ドコモ光=フレッツ光であれば提供エリアになっている、というケースがあります。この場合はドコモ光のメリットというよりも選択肢がほかにないという状況ではありますが、auひかりは場所によっては利用したくても利用できないこともある、ということは覚えておきましょう。
auひかりは工事費が高い
さらにもう一点。auひかり申込時の、初期費用についてです。
auひかりホームの場合が工事費含む37500円、マンションの場合が30000円です。ドコモ光の場合の工事料と比較してもかなり高いです。この工事料金に関しては分割という選択肢も容易されているのですが、そうすると、せっかくのauスマートバリューでの割引分が見事に打ち消されてしまう可能性があります。
ただ、この初期費用に対しては、割引が準備されています。
auひかりホームの場合、電話とネットのセットで申込の場合、初期費用相当額割引が適用されます。auひかりホームは、つまり何があっても電話とセットが前提、という話ですね。電話を申し込みしないと工事料金もかかる、auスマートバリューも適用しないで踏んだり蹴ったりです。
マンションの場合は電話がなくても初期費用相当額割引が適用します。この割引により、初期費用というマイナス面は打ち消すことができるのですが、その分、2年間の縛りが発生します。
auひかりホームは縛り期間が3年
auひかりの長期縛りはそれだけではありません。
auひかりホームの場合の最安値料金は、「ずっとギガ得プラン」に加入した場合、という条件が付きます。
ずっとギガ得プランとはつまり、3年縛りの契約です。固定のインターネットは基本的に長期利用が前提であり、あまりスマホやケータイのように短期間で解約新規を繰り返すことはないと思いますので問題ないと思いますが、auひかりを利用すると決めたのなら、少なくとも3年は利用しないとせっかくの割引が帳消しになってしまう可能性があるため、ある程度の覚悟を持って申込する必要があります。
auひかりはプロバイダーが少ない
最後にもう一つ、auひかりのデメリットとしては、プロバイダーの数が少ないという点があげられます。
対応プロバイダーは
@nifty/@T COM/ASAHIネット/au one net/BIGLOBE/DTI/So-net
となっています。
とりあえずOCNやぷららなどのNTT系を除く主要プロバイダーは抑えてありますが、選択肢は限られてきます。
光サービス比較まとめ
結論として、ドコモユーザーにとっては当然のことながらドコモ光有利、現在auを利用しているとしても、ドコモ光はその他サービスと総合して十分検討の余地ありと言えそうです。
シンプルプラン、docomo with、ドコモ光&ドコモ光パック、ずっとドコモ割、dカード GOLDなどのサービスが相乗効果となり最高のメリットを創出してくれます。
さらには、それ以上の突き抜けたコストパフォーマンスの実現を目指したい場合には、ドコモからは離れてしまうリスクはあるものの、格安SIM+コラボ光という選択も可能です。
特に大きな損をしてしまう、ドコモユーザーでありながらauひかりを利用していたり、まだフレッツ光のままだったりするケースの場合には、早急にドコモ光への乗りかえを検討してみましょう。
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