NTTドコモよりドコモ光の追加プランとして発表された「ドコモ光ミニ」。
2016年、NTT東西は、光回線卸に2段階定額制を導入することを先に発表しましたが、それを受けてのドコモ光の追加プランとなっています。ドコモ光ミニは、2016年3月1日にサービス開始されています。
その内容としては、結論から言えばかなり微妙なもので、あからさまに「総務省対策では?」と言いたくもなるところですが、具体的に詳細を確認していこうと思います。
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ドコモ光ミニは2段階定額制プラン
通常のドコモ光がタイプA(戸建)の場合5200円、タイプB(戸建)の場合5400円となっていますが、ドコモ光ミニは2段階定額プランとなっていますので、まず基本料金が2700円となります。
そこから利用した分だけ料金が上がっていき、上限が5700円となります。上限まで到達すると、通常のドコモ光よりも高くなってしまうので、それならば初めから通常のドコモ光タイプAにしておいた方が安くなります。
2段階制の最初のラインである2700円水準では、データ容量200MBまで利用可能です。それを超過すると従量部分に入り30円/10MBで課金されていきます。そして上限は1200MBで5700円です。
このデータ容量の水準を一目見ればわかりますが、非常に少ない水準で設定されています。
ドコモのデータSパックよりも少ないレベルです。つまり、少し利用すればあっという間に上限到達、5700円になってしまいます。
そのため、「あまりインターネットを利用しないユーザー向け」、というよりも、「まったくインターネットを利用しないユーザー向け」と考えた方がいいでしょう。
まったくインターネットを利用しないのであれば、そもそもドコモ光にする意味がないという話ですが、つまりは「ドコモ光電話」を利用したいユーザー向け、ということですね。その辺りの利用ユーザーのイメージは、後述しますが「OCN光 2段階定額」と同じです。
ドコモ光ミニは単独タイプ・戸建のみ提供
ドコモ光ミニは、タイプA・タイプBどちらのタイプでも利用できず、単独タイプのみで提供となっています。これはかなり大きな注意点です。
つまりどういうことかというと、プロバイダー契約は個別にユーザー自身で行う必要があるということです。
加えてプロバイダー料金は当然別にかかるため、実際の料金はドコモ光ミニの料金+αでかかることになります。インターネットを200MB以内で抑えて仮にドコモ光ミニの基本料金2700円で抑えることに成功したとして、プロバイダー料金が1300円前後かかったとすると、結果的に4000円になります。この水準になるのであれば、通常のドコモ光を申込して、プロバイダー料金込みのタイプA・5200円でインターネットも使い放題で利用した方がお得と言えるかもしれません。
つまりは仮に4000円程度毎月かかったとしても、それ以上に固定電話を利用して遠距離通話が多いユーザーに対してのみ有効利用ができるプランと言えます。
ただ、そんなに電話を利用するのであれば、そもそもドコモのカケホーダイプランを2200円で利用すればよく、ますますドコモ光ミニの利用シーンは限定されてきます。
ではドコモはなぜ、このようなプランを策定したのかというと、やはりこのプラン自体、「安く利用したいユーザー向けのプランをさらに一つ作りました」という言い訳にしか見えないわけです。
実際の利用シーンが限りなく限定されているものの、確かに安く利用したいという人がいれば使い方さえ限定すれば安く使えないことはなく、総務省への言い訳としては便利なプランと言えるかもしれません。
ドコモ光ミニとOCN光 2段階定額制比較
では、先行して発表されていた、OCN光の2段階定額プラン「OCN光 2段階定額」とドコモ光ミニを比較してみます。
ドコモ光ミニ | OCN光 2段階定額 | |
基本料金 | 2700円 | 3900円 |
上限金額 | 5700円 | 5600円 |
データ容量下限 | 200MB | 3040MB |
データ容量上限 | 1200MB | 10040MB |
従量部分料金 | 30円/10MB | 24円/100MB <9940MB以上> 44円/100MB |
通常プランとの 損益分岐点 |
1040MB | 8040MB |
あまりにも明らかですが、ドコモ光ミニの優位な部分は基本料金のみとなっています。しかも基本料金についてもプロバイダー料金は含まれていないので、実際のところはOCN光 2段階定額とほぼ変わらない水準になると思われます。それに加えて上限金額はさらに跳ね上がります。
データ容量についても同様で、ドコモ光の利用容量の少なさが際立っています。ドコモ光ミニの上限到達ラインが約1GBに対してOCN光 2段階定額の上限到達ラインは約10GB、10倍です。
ただ、実はそもそも2段階定額の光回線卸を実施しているNTT東西のフレッツ光ライトの容量水準はドコモ光に近くなっていますので、ドコモ光ミニが少ないというよりも、OCN光 2段階定額の容量がかなり多めに設定されていると考えることもできます。
NTT東日本より2016年2月22日に発表されたフレッツ光ライトプラスの場合には、下限が3000MB、上限が10000MBになっていますので、まさにOCN光 2段階定額と同水準です。
つまりOCN光 2段階定額は、フレッツ光ライトプラスの料金体系を先取りしていたような内容となっているわけです。
ドコモ光ミニ=フレッツ光ライト
OCN光 2段階定額=フレッツ光ライトプラス
こう考えるとわかりやすいですね。
ちなみに、上記料金はすべて、二年更新割引を適用させた場合になっていますので、二年の更新月以外で解約をすると、ドコモ光ミニの場合解約金が13000円(税別)かかります。OCN光 2段階定額の場合は解約金は11000円(不課税)です。
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ドコモ光ミニの「ドコモ光パック」/光複数割は適用か
ドコモ光ミニ利用の場合、ドコモのセット割引「ドコモ光パック」は適用されます。
データMパック、データLパック、シェアパックであればペア回線/ペア回線を含むシェアグループに対して500円の割引がかかります。それ以外のデータSパックやFOMAプランの場合には、期間限定割引で一年のみ500円割引となります。
同時に発表された光複数割に関しては、ドコモ光ミニの場合には適用外となります。
つまり、同じシェアグループ内に、別の場所に住む家族がいたとして、どちらの自宅でもドコモ光を申込みすれば光複数割が適用されますが、片方の自宅でドコモ光、片方の家ではドコモ光ミニの申込みの場合には、光複数割は適用されません。
光複数割は、同じシェアグループ内でドコモ光を2契約以上申し込みをした場合に、2回線目以降、300円の割引が適用されるというものです。
むしろドコモ光ミニ自体よりも、申し込みの需要はあるかもしれません。
ありそうなケースとしては、親が実家でドコモ光、子供が学生で遠方に出ており、そちらでもドコモ光。このパターンです。そして親と子は同じシェアグループに入っている必要があります。
割引金額自体は大きいものではありませんが、今までは同じ条件を満たしていても1円も割引がなかったわけなので、今後はよりシェアグループを組み、ドコモ光をそれぞれの自宅で申込すればよりお得になるということです。
既に片方でドコモ光、片方はフレッツ光というような状況であれば、フレッツ光の回線は転用をすることでよりお得になるので、ドコモ光への転用を検討する余地はありそうです。
光複数割の適用に関しては、2016年5月利用分から条件を満たす場合に自動適用されるということです。