以前私が某窓口で聞いた話です。
「iPhone作ってるAppleってアメリカの会社じゃないですかぁ? だから修理の支払いもクレジットカードじゃないとできないんですよー」。
その時は、へーそうなんだ、と納得もしたものですが、これはそもそも本当のことなのでしょうか? 本当にiPhoneの修理代金はクレジットカードでしか支払えないのでしょうか?
その場合、クレジットカードを持っていないiPhoneユーザーは、一体どうしたらいいのでしょうか。
ということで、今回改めてこの事実について確認をしてみました。
iPhoneが故障した場合の選択肢
ドコモショップでできること
iPhoneが故障してしまった場合、iPhoneはドコモショップで修理受付ができないというのは有名な話です。
実際にドコモショップでiPhoneを購入された方は、その購入時にかなり念入りに「ドコモでは修理ができないのでAppleに持っていってほしい」ということを説明されているはずです。
では、iPhoneが故障した際にドコモショップでできることは全くないのかというと、そうではありません。以下の二つの内容については、ドコモショップで受付してもらうことができます。
・代替機の貸出
・ケータイ補償センターへの電話取次
代替機の貸し出しについては、そもそも故障したiPhoneをどうするのか、という方針が決まっていないと手続きをしにくいです。
例えば、Appleに故障したiPhoneを持って行って預かり修理になるなら代替機は必要でしょうが、もし同日修理・即時修理になってしまえば代替機は不要になりますので、不要の場合わざわざ借りに行き、さらに返しにくいくという手間、そしてそれぞれ貸出・返却の手続きを実施する時間の無駄が発生します。
そのため、まずはAppleに行き、修理の方向性を確認したのち、預かり修理の場合についてのみその後ドコモショップに代替機を借りに行く、という流れが理想です。
ケータイ補償センターへの取次は、別にドコモショップで手続きしなくても自分で電話すればいいのですから、基本的には来店する時間と手続きをしてもらう時間が無駄なのですが、一応それでも取次だけはしてくれます。
ただ、ここでも代替機の貸し出しが必要な場合には、「ケータイ補償センターへの取次→代替機の貸し出し」、という具合に合わせて手続きをしてもらうことができるため、その場合には意味があると言えます。
ドコモのケータイ補償サービスを利用しての交換手続きにはそれなりに金額もかかるので、できれば最終手段にしたいところですが、全損や水没など、明らかに症状がわかる状態であるのなら、Appleは一切経由せずにドコモショップで代替機を借り、そのままケータイ補償サービスの取次をしてもらうのが一番です。
ちなみに、ドコモのケータイ補償サービスの利用料金は、月額料金と同じくドコモの利用料金に合算されてくるので、クレジットカードが必要ということはありませんし、現金すら必要ではありません。
逆に、ドコモの窓口でケータイ補償利用分の金額の支払いを実施することはできません。
Appleでの対応
では、今回の本命のAppleでの修理の場合についてです。
iPhone故障の場合、Appleとして大きく分けて三つの対応が提示されます。
一つはAppleストアのGenius Barへの持ち込み。一つはApple正規サービスプロバイダへの持ち込み。そして最後の一つが配送修理の手続きです。
Genius BarとApple正規サービスプロバイダへの持ち込みについては、どちらも基本的には同じように同日修理を即時でしてもらったり、修理に預けたりする受付をしてもらえますが、より総合的なサポートをしてくれるのがGenius Barなので、もし近くにAppleストアがあるのなら、そちらを活用するといいでしょう。
Appleストア Genius Bar/Apple正規サービスプロバイダでの修理は現金払いも可
ただ、現実問題としてAppleストアはそれほど数が多いわけではなく大都市にしか存在していないため、地方都市在住の場合などは基本的にはApple正規サービスプロバイダへの持ち込み、または配送修理という選択になってくると思います。
主なApple正規サービスプロバイダとしては、圧倒的に多いのがカメラのキタムラ、そしてビックカメラです。
それぞれ全店がiPhoneの修理に対応しているわけではないので、近場の対応店舗を確認しておくといいでしょう。
もし、Genius Bar、またはApple正規サービスプロバイダで修理手続きを行った場合、もし有償になった場合の支払い方法としては、クレジットカード払い以外にも現金払いが選択可能です。そのため、クレジットカードがなければ修理ができない、ということはありません。
Appleリペアセンターでの配送修理はクレジットカード払いと代引きが選択可能
もし近くにAppleストアもApple正規サービスプロバイダもないとか、なかなかお店まで行く時間がない、足を運んでも混雑しすぎていて対応してもらえないから予約をとろうと思ったけどずっと先になってしまう、というような場合に、活用できるのが、配送での修理です。
Appleの公式サイトから申し込みができ、症状に合わせて見積もりも出してくれ、その上で申し込みをすることができます。
Apple IDでログインすると自分の所有しているApple製品が一覧になって出てきます。私の場合、歴代利用しているiPhoneやApple Watchなどがズラリと出てきました。その中から修理したい機種を選択する形となります。
以下は修理画面の例です。
※修理画面例
流れとしては、まず先に故障機を配送業者に回収に来てもらうための集荷予定日時を選択します。自分で郵送しなくてもいいのは便利ですね。
その上で見積にも問題がなければ、配送先を設定します。そこまで完了したら、支払い方法を選択することができました。
クレジットカード支払いもありますが、もう一つ、代金引換払いも選択が可能でした。
つまり、iPhoneの修理を出す際に、クレジットカードがないといけない、ということはなかったんですね。ちゃんとクレジットカードを持っていない場合でも、代引きで対応ができます。
エクスプレス交換サービスはクレジットカード必須
iPhoneが故障した場合、修理とは別にもう一つの選択肢があります。それが、エクスプレス交換サービスです。
簡単に言えば、ケータイ補償サービスのApple版です。そのため、利用する場合には基本的にApple Care+に加入している必要があります。
厳密に言えば、加入していなくても利用は可能ですが、費用が極端に高くなるため、Apple Care+加入なしの状態でのエクスプレス交換サービスの利用は現実的ではありません。
現在多くのドコモのiPhoneユーザーは、どちらかというとケータイ補償サービスに加入している人が大多数でしょうから(※ドコモショップであんしんパックが強く推奨されているため)、実際のところエクスプレス交換サービスの利用対象となる方はそう多くはないと思います。
しかし、もしApple Care+に加入している、という方の場合、注意していただきたい点として、Appleのエクスプレス交換サービスの利用時には、クレジットカードが必須となります。ドコモのdカード、dカード GOLDをお持ちなら何の問題もありませんが、お持ちでない場合にはあらかじめ申し込みしておいた方がいいでしょう。
エクスプレス交換サービスはケータイ補償サービス同様、端末の「交換」が前提とされていて、故障したiPhoneは代わりに後日、返送しなければなりません。
この返送を行わなかった場合や、iPhoneに生じている不具合や損傷がApple製品限定保証対象外、またはApple Care+の対象外だったり、修理不可能なほどの壊滅的な損傷だった場合には、交換機価額(交換機としてお届けする製品の価額)が、そのまま登録したカードから決済されます。
その手続きを速やかに行うために、エクスプレス交換サービス申し込み時にあらかじめ交換機価額 が登録したクレジットカードの与信枠として一時的に確保されてしまうというわけです。
そうした、Apple側の損失を防ぐための仕組みにクレジットカードの利用がどうしても必要、というわけですね。
その分、エクスプレス交換サービスを利用すれば格安(11,800円)で新しいiPhoneに交換してもらえるのですから、それくらいのリスクは負わざるを得ないというところですね。
ちなみにドコモのケータイ補償でも、この辺りの考え方は似たようなもので、もし故障機の返送が実施されなかった場合には、非常に高額な金額が請求されます。それが、クレジットカード経由で実施されるかどうかの違いです。
もしそのあたりの一連の流れが納得いかないとか不安ということであれば、はじめからApple Care+ではなくドコモのケータイ補償サービスを申込しておけばいいでしょう。
iPhoneの修理にクレジットカードが必要、という認識は間違い
私が以前対応してもらった店員さんが、まさか意識的に嘘をついていたとは考えにくいので、単純に「エクスプレス交換サービスはクレジットカードが必須=iPhoneの修理にはクレジットカードが必須」と結論付けてしまい勘違いしていたのではないかと考えられます。
通常のiPhoneの修理には必ずしもクレジットカードは必須ではありません。
そのため、現在クレジットカードを所有していないからといって、iPhoneを持つと万が一の際に困る、ということもありません。交換補償についてはドコモのケータイ補償サービスに加入すれば問題ありません。
ただ、それがそのままドコモのdカード/dカード GOLDを持たなくていい、という話にはなりません。
特にdカード GOLDについては、独自の最大10万円のdカードケータイ補償を利用することができるので、これを活用しない手はありません。→「dカード GOLDケータイ補償の全く触れられていない注意事項とわかりにくい手続き方法を詳細解説」
iPhoneの故障で、「保証対象外修理サービス」を利用して交換した場合、機種によって価格は違いますが、現状最も高いiPhone XS Maxでも7万円以下の金額なので、dカード GOLDケータイ補償で全額賄うことができます。
もちろん、すべての故障のケースで適用できる補償ではないので、通常のケータイ補償またはApple Care+はあった方がいいと思いますが、この辺りは考え方次第ですね。
長く同じ機種を使い続けたいと考えるのなら、加入しておいた方が間違いはないと思います。
ちなみに、もしApple Care+にもケータイ補償にも入っていない場合のケースについては、以下の記事を参考にどうぞ。→「Apple Care+にもケータイ補償にも加入していない場合のiPhone修理」