ドコモの契約には、個人契約のほかに法人契約が存在します。
会社員の人にはおおよそ関係ない話かもしれませんが、中には個人で会社を経営していたり、現在は個人事業主であっても今後法人化を検討していたりということもあると思います。
働き方が大きく変わりつつある現在、「法人」に興味を持つ人はかなり増えています。
ということで、はたして個人契約と法人契約ではどちらが有利になるのか、詳細内容をまとめて検証してみました。
ドコモの法人契約とは
法人契約可能な「会社」
現在日本に存在している「会社」には、「会社法」によって認められている「株式会社」、「合同会社」、「合資会社」、「合名会社」、そして設立は既にできなくなったもののまだ多数存在している「有限会社」があります。
このいずれの「会社」についても、ドコモで法人名義の新規契約をすることが可能です。
ただ、あくまで「会社」という形をとっている場合にのみ法人契約が可能なので、「会社」としての登録がない個人事業主/自営業者、フリーランスなどの場合には、ドコモで法人契約をすることができません。
この場合は、あくまで個人として新規契約をする必要があります。
とりあえず個人でドコモと契約しておき、時期を見て法人成りすることがあれば、その時に個人契約から法人契約へ名義変更することも可能です。
ドコモの法人契約と個人契約の違い
一口にドコモの法人契約といっても、その目的には企業ごとに大きな違いがあります。そして、大企業の法人契約と中小企業の法人契約では、規模があまりにも違いすぎます。
基本的に大企業の法人契約については、個人の意思で何かが動くことはないため、ここで考えることに何も意味はありません。主にここで考えていきたいのは中小企業、しかもその中でも比較的小規模な会社の場合です。
一人、または家族で経営しているような会社の場合、法人契約とはいえ、基本的なプランや料金は個人契約と変わりません。
ではどういう部分が個人契約と法人契約では違ってくるのでしょうか。主な違いを以下にまとめてみました。
個人名義 | 法人名義 | |
手続き場所 | ドコモショップ ドコモインフォメーションセンター ドコモオンラインショップ My docomo |
ドコモショップ ドコモインフォメーションセンター ドコモオンラインショップ My docomo ドコモの法人営業を通して |
主な必要書類 | NW暗証番号 運転免許証 マイナンバーカード 健康保険証他 |
NW暗証番号 登記簿謄本 印鑑登録証明書 社員証か名刺 来店者の本人確認書類他 |
料金支払い方法 | 口座振替 クレジットカード払い |
口座振替 クレジットカード払い (法人カード) 請求書払い |
経費計上 | 可能 | 可能 |
dカード申し込み | 可能 | 不可 |
ドコモ光申し込み | 可能 | 可能 |
ポイントプログラム | dポイントクラブ | ビジネスプレミアクラブ |
手続き場所
ドコモの個人名義の契約と法人名義の契約では、手続き場所については基本的に違いはありません。
同じようにドコモショップやドコモオンラインショップで手続きが可能で、ドコモインフォメーションセンターに電話をして手続きを実施することもMy docomoで手続きを行うこともできます。
ただ唯一異なる点としては、法人契約の場合、ドコモの法人営業担当者をつけてもらうことによって、その営業担当者に足を運んでもらうことで手続きを完了させるという方法があります。
法人営業担当に相談をしたい場合には、各都道府県の法人営業担当が在籍しているドコモショップ等の代理店に連絡をすることで、細かい相談をすることができます。
実際にどこまでできるのか、どういうことができるのかは、問い合わせて確認してみましょう。→ドコモビジネスオンライン公式サイト
手続きに必要な書類
ドコモショップ来店時、どんな手続きをするにせよ、本人確認書類が必要です。
ネットワーク暗証番号(NW暗証番号)がわかれば、本人確認書類の代わりとして様々な手続きが可能となる点は個人も法人も同じですが、細かい点がやはりそれぞれに異なります。
法人契約の場合、法人としての本人確認書類(NW暗証番号・登記簿謄本・印鑑登録証明書)などの他に、来店した人の本人確認書類(免許証、保険証など)および会社との関係性のわかる書類(社員証、名刺など)が求められます。
特に必要書類の中で登記簿謄本と印鑑登録証明書については、発行から三ヶ月以内のものが必要だったりと、日常的に用意しておくのが難しいです。
つまり、しっかり事前に準備して来店しなければ、書類不備で手続きができないケースがどうしても増えてしまうというわけです。
この点は、法人契約における面倒な点の一つといえるかもしれません。
そういう意味でも、極力ドコモショップへの来店を減らすためにMy docomoやインフォメーションセンターで手続きをするとか、購入の場合はドコモオンラインショップを利用するなどした方が確実に利便性は高いと言えそうです。
料金支払い方法
法人契約の場合、個人契約で利用することができない「請求書払い」を普通に利用することができます。
個人契約も、昔は請求書払いを選択することができていましたが、現在は口座振替またはクレジットカード払いに限られており、自ら請求書払いを選択することはできません。
法人契約では、そうした点は気にすることなく、支払方法は自由に選択することができるのですが、経費をわかりやすく管理したいということであれば、法人クレジットカードにまとめてしまうのが一番お勧めです。
会社のお金の動きは一元的に管理できるのが一番理想で、万が一将来的に税務調査が入った場合にも、すっきりわかりやすく経費をまとめてあれば好印象にも繋がりやすいと思われます。
dカード GOLDに法人カードはない
経費をまとめて決済するクレジットカードとしては、通常であればドコモユーザーに最大のメリットを与えてくれるdカード GOLDを利用したいところなのですが、法人契約の場合、dカード/dカード GOLDは申し込みできません。
そのため、人気の三井住友ビジネスカードがお勧めです。券面はクラシック・ゴールド・プラチナと種類がありますが、中間のゴールドがお勧めです。
年会費はdカード GOLDと同じ11,000円(税込)ですが、法人カードの場合、年会費は経費計上できるため心配ありませんし、カード利用枠もクラシックでは10万~80万しかありませんが、ゴールドでは50万から200万となり、ある程度の規模の支払いまでは対応できますので、見た目のステータス感もあわせて、ゴールド以上を検討してみましょう。→三井住友ビジネスカード for Owners
経費について
ドコモの利用料金は、法人契約の場合は当然業務で利用した分ということで経費計上が可能ですし、個人契約でも何割かが業務に利用した、ということがわかる状態であれば、家事按分することで経費計上も可能です。
しかしながら、個人利用と混ざってしまっている状態よりも、あくまで会社でのみ利用しているということがわかるように法人契約にしておく方が、全額経費に振れるわけですし、より経費計上はしやすいと言えます。
ただこの場合に、完全に個人利用のスマホを法人契約し経費にしていると判断されれば、税務調査が入った際には経費を否認されます。
そういう意味でも、法人契約はあくまで会社利用分の携帯を、経費分がわかりやすくなるように法人クレジットカードなどで一括管理しておくようにしたいところです。
ドコモ光は法人契約可能
ドコモ光は、ドコモの法人契約の回線に紐づける形で、法人でも契約することが可能です。
ただ、前述したように、dカード GOLDを法人では申し込みすることができないため、dポイント10%還元※が適用されないという点については個人契約時よりも不利ですが、完全に事業で使うドコモ光契約については「経費になる」というメリットがやはり大きいです。(※毎月のドコモのケータイ/ドコモ光利用料金の1,000円(税抜)ごとに税抜金額の10%還元/利用料金1,000円(税抜)につき100ポイント)
携帯回線と光回線をどちらも経費計上できるという意味で、やはり法人契約のメリットはかなり大きいと考えてよさそうです。
関連記事:「ドコモ光は法人でも契約が可能」
ドコモビジネスプレミアクラブ
ドコモのポイントプログラムは、2015年12月より、以前の「ドコモプレミアクラブ」から「dポイントクラブ」へと変更されました。
しかし、法人契約においては、「ドコモビジネスプレミアクラブ」がそのまま継続しているということはあまり知られていません。つまり、ドコモの法人契約は、dポイントクラブに対応していないのです。
ゆえに、ポイントシステムも以前のままの仕組みが今も適用されています。
個人におけるdカード GOLD利用時と同じ、1000円利用につき100ポイント付与されるゴールドステージに上がるためには、「オフィスリンク」と「あんしんマネージャー」を採用する必要があります。特にオフィスリンクは大企業向けサービスなので、中小企業がゴールドステージに上がれることはあまりないと思われます。
とはいえ、15年以上のグランプレミアステージも、ポイント還元率としては2.5%あるので、十分高い水準です。長期利用をすればずっとドコモ割も適用されますし、最終的にはこの水準を狙って長期利用していきたいところです。
ドコモの法人契約のメリット
ドコモにおける法人契約のメリットは、前述した個人契約との違いにそのまま含まれています。重複しますが改めて解説しておきます。
法人のメリット1:経費
ドコモの携帯料金およびドコモ光の料金を、まとめて経費として計上することができるという点が、やはり法人契約の最大のメリットです。
さらに経費を法人カードでまとめて支払うようにしてしまうことで、複雑な帳簿付けも比較的わかりやすく行うことができるでしょう。
法人のメリット2:ギガホプレミア/ギガライトとかけ放題オプション
カケホーダイプランやビジネスシェアパックは新規申し込みを終了してしまいましたが、新しいプランとしてギガホプレミア/ギガライトが提供されています。
かけ放題オプションを利用することで、社員間のみならず、自社固定電話への通話や取引先への通話など、固定電話、携帯、PHS、IP電話など、どこにかけても基本的に通話料金は無料となり、ビジネス的に大きなメリットがあります。
データ通信に関しても、以前は100GB以上のビジネスシェアパックなどが非常に便利だったものの、現在では1回線でも5Gギガホプレミアで無制限利用ができるなど、安価で大容量を利用できるようになっています。
逆に通信を使わない場合には、段階制プランのギガライトを選択することができるのも非常に便利なポイントです。
法人のメリット3:ビジネスプレミアクラブ
前述したとおり、法人契約ではdポイントクラブが適用されないため、ドコモビジネスプレミアクラブがそのまま継続しています。
ドコモビジネスプレミアクラブでは、利用年数によっては、ポイント付与率は個人契約の状態よりも大きくなるため、そういう意味では法人契約にするだけでそのままメリットがあるといえます。
ドコモの法人契約のデメリット
ドコモの法人契約を選択した場合のデメリットも押さえておきましょう。
法人のデメリット1:手続き時の必要書類が多く複雑
法人契約のデメリットの一つとしては、手続きを実施する際の書類が多かったり、手続きによっては登記簿謄本や印鑑登録証が必要で、しかも発行から三ヶ月以内のものと限定されていたりと、揃えるのに手間がかかってしまうという点が挙げられます。
この書類の多さゆえに、事前準備をしっかり行わないと、書類を揃えてドコモショップに来店したと思ったら「あれが足りない、これが足りない」ということで結局再来店、というパターンにハマってしまうことも多くなりがちです。
インフォメーションセンターへの確実な事前確認で対処するか、またはドコモショップ来店が必須の手続きでなければインフォメーションセンターで手続きを完結させる、My docomoで終わらせる、ドコモオンラインショップで購入手続きを行うなどの対処方法があります。→「ドコモオンラインショップでの機種変更/購入が圧倒的有利な件」
法人のデメリット2:dカード GOLDが作れない
法人契約では、dカード/dカード GOLDを作ることができません。そのため二つの影響があります。
一つは、dカード GOLDを作れないことで、ドコモ利用分およびドコモ光に対するdポイントの10%還元が受けられないということです。
ポイント10%還元は1割引きと同じことなので、あるのとないのではやはり大きな違いがあります。しかしその分、法人契約は業務利用分として利用するため全額経費にできるというメリットがあります。
その経費の管理としては、dカード GOLDの代わりとしては、三井住友ビジネスカードを利用しましょう。→
公式:三井住友ビジネスカード for Owners
法人のデメリット3:ahamo(アハモ)が利用できない
大きな話題を呼んだahamo(アハモ)ですが、残念ながら法人契約の場合には利用することができません。
アハモをどうしても利用したい場合には、個人契約をするしかありません。
法人のデメリット4:dポイントクラブ非対応のため、対応店舗でdポイントが貯められない
dカード/dカード GOLDを作れないことによるもう一つの影響は、dポイント加盟店でdポイントを付与してもらうことができない、という点です。
ローソンやマクドナルドでポイントを貯めるためには、dポイントカードを活用するか、個人契約でdカード/dカード GOLDを利用するしかありません。
もちろん法人契約とは別に、個人契約に紐づける形、またはドコモ契約とは関係なくdカード GOLDを持つのもお勧めです。そうした利用方法も検討してみましょう。→「dカード GOLDは本当にお得なのか」
法人契約は利用するべきか
完全に法人化して会社を設立している場合、ドコモの利用に関しては完全に法人契約に名義変更した方がいいでしょう。
何より経費と帳簿の問題、将来やってくるかもしれない税務調査に対応するためです。
そもそも、事業自体を個人事業から法人成りするかどうかで、おそらくかなり悩まれていると思います。その悩みを乗り越えてせっかく法人成りしたのであれば、やはりドコモの契約についても、業務上利用の分については法人名義へと名義変更をした上で堂々と経費計上するのが間違いのない流れです。
あわせて、これを機会に今まで利用していなかった法人クレジットカードを作り、法人の支払いを一元化して、支払いから税務上の問題まですべてに対応できる環境を整えておきましょう。