かつて人気を集めた、ドコモの指定通話割引サービス、ゆうゆうコール。
なんとなく、誰もが気づいてはいたものの、具体的にどうなのかは誰も検証してきていなかった問題をあえて検証してみます。
カケホーダイプランが登場した今、ゆうゆうコールはもう、必要ないのではないか。
既に、誰にも気づかれることなく、静かに息を引き取りつつあるのではないか。
盛大にこけて苦笑いで看取られたNOTTVとは対照的に、それなりにドコモとユーザー双方がWINWINになれる関係を築けた優良サービス・ゆうゆうコールは、誰からも見送られることなく、最後の時を待っています。
さようならゆうゆうコール。そしてありがとう。
ゆうゆうコールとLOVE定額・そしてホワイトプランとau指定通話定額
まだスマートフォンが影も形もない時代、ゆうゆうコールは、電話を長時間かけるユーザーのための割引サービスとして登場しました。
今のように通話料金が定額カケホーダイになるなんてことは考えられない時代だったため、たとえドコモあての通話が3割引き、他社あての通話が1割引きと割引率は低くても、利用価値は十分にあるサービスでした。
月額料金は180円と安くはあったものの、割引率自体が低めであるため、通話の料金が無料通話内に収まってしまうユーザーや、そもそも通話が少ないユーザーが利用すると月額180円の元を取れないというケースもあり、利用するためにはやはりそれなりに通話の量が多めのユーザーが推奨されていました。
折しも時代はまだソフトバンクが携帯業界に参入する前の時代、ボーダフォンに「LOVE定額」という当時では画期的なサービスが存在しました。
懐かしいですね。時代を感じます。知っている人はそれなりに年齢層が高めだと思われます。もう少しさかのぼるとポケベル世代とかになるんですけどね。
そのLOVE定額、サービス開始されたのは2005年ですが、結局2006年にはボーダフォンの日本法人がソフトバンクに買収され、ソフトバンクがそのままLOVE定額を引き継ぐ形となりました。
LOVE定額は、月額315円(税込・当時)で指定した同社回線1回線に対する音声通話、メールの通信料金が無料になるという内容でした。つまり、まさしく恋人同士のためにあるような、「LOVE」なサービスだったのです。
当然のことながら離れていても思う存分会話を楽しみたいと考える恋人同士からの申し込みが殺到しました。
こうした無料通話サービスは、PHS(ウィルコムなど)を除けばその後ソフトバンクから2007年に登場する条件付通話定額のホワイトプラン、そして2009年にauから指定通話定額が登場するまで待たなければならなかったことを考えると、いかに画期的だったかがわかると思います。
そんな中でドコモのゆうゆうコール。当時から既に、非常に地味でした。派手なLOVE定額に対して、あまりにも控えめな存在。
クラスメイトが流行りのファッションで登校してくるのを尻目に、頑なに学生服を着続けるような、そんな存在がドコモ・ゆうゆうコールでした。
同時のドコモユーザー、特に若い世代は、ドコモのゆうゆうコールがそれら通話割引の優等生たちと比べるとまったくお得ではないことに気づいていました。
ただ、当時のキャリア間の移動は今のように簡単にはいかなかったのです。MNP(携帯番号ポータビリティ)が開始されたのは2006年10月24日です(今年で10年ですね。。)。そのため、ドコモユーザーの中には、ドコモのケータイとLOVE定額用ケータイという二台もちを選択する人もいました。
そんな環境の中でも、ゆうゆうコールは独自のスタンスを貫きとおしました。
ドコモの裏切り・Xiカケホーダイの登場
そんなゆうゆうコールをついに、ドコモが裏切りました。敵は身内にいたのです。
時代はケータイからスマートフォンへと移行し、かつてmovaと呼ばれた第1世代/第2世代ケータイが第3世代のFOMAに移行したのと同じように、今度はFOMAからXiへと移り変わりました。
2010年12月より、Xiサービスは開始されています。Xi対応スマートフォンが4機種(Galaxy S2 LTE SC-02D、ARROWS X LTE F-05D、Optimus LTE L-01D、MEDIAS LTE N-04D)発売され、注目を集めました。
そのXiの料金プランの中に、ゆうゆうコールを無効化するサービス・Xiカケホーダイが存在していました。
ドコモ回線に対する通話を定額制にしてしまう、というプランでした。ゆうゆうコールは瀕死の重傷を負いました。
ドコモ・完全通話定額制「カケホーダイプラン」開始に伴うゆうゆうコールの哀愁
ゆうゆうコールは、時代の流れを感じていたはずです。もうすぐ自分の役割は終わりに近づくと。
まだFOMAプランが存在している限り、Xiカケホーダイが開始されたとはいえ、ゆうゆうコールの役割は残されていました。
しかしドコモはそんなゆうゆうコールに対して、最後のとどめに出たのです。
2014年スタートした、カケホーダイプランです。
致命的だったのは、カケホーダイプランに「FOMA向け」があったことです。
これにより、ゆうゆうコールは事実上存在意義を失いました。
なぜなら、カケホーダイプランの月額2200円よりも安い、FOMAプランのタイプSバリュー(1500円)を利用している場合、仮にゆうゆうコールを利用したとしたら180円プラスの1680円です。
そこから、その180円分の元を取るべく通話をしたとしたら、20分を超えてきます。20分を超えると、タイプSバリューで通話料金と基本料金の合計が、ほぼカケホーダイプラン2200円と同等になってしまいます。
つまりは、ゆうゆうコールを申し込むくらいなら、カケホーダイプランにした方がいい、という鉄壁の状況がつくられてしまったわけです。ここに至って、ゆうゆうコールは申込む価値がないサービスに認定されました。
唯一、特殊ケースとして、FOMAプランをカケホーダイプランに変更するとパケット定額をつけないと月々サポートが外れてしまうためFOMAプランを継続する必要がある、というケースの場合においてのみ、ゆうゆうコールはぎりぎり存在意義を示しますが、あまりにニッチすぎる活躍の場は、もはやなくても問題ないレベルになりつつあるのです。
かつてもドコモは、既に利用シーンが存在しないサービスを次々終わらせてきました。
限られたリソースを他に注力するために当然の方向性ではありますが、次のターゲットにいつ、ゆうゆうコールが選ばれてもおかしくない状況です。
サービスの提供がかなりの年数に及んだことで、寂しい気持ちもありますが、またゆうゆうコールの代わりに、様々な魅力あるサービスが登場することを期待したいと思います。