iモード・FOMAはなぜ終わったのか|1999年から2026年の歴史を振り返る

2017年冬春モデル

2026年3月31日、NTTドコモの「FOMA」と「iモード」が完全にサービスを終了しました。

FOMAは25年、iモードは27年。日本のケータイ文化を作り上げた二つのサービスが、同じ日に静かに幕を下ろしました。

この記事は、もともと2016年に「iモードがなくなる日」というタイトルで書いたものです。

当時はiモード対応機種の出荷終了がアナウンスされ、その終焉を予感しながら書きました。あれから10年、その「なくなる日」が本当に来てしまったので、改めて歴史を振り返りながら書き直すことにしました。


まず、movaという時代があった

iモードやFOMAの話をする前に、その前身であるmovaに触れておく必要があります。

movaは1993年3月に開始した第2世代(2G)の携帯電話サービスで、「デジタルムーバ」という名前の通り、アナログからデジタルへの移行を担ったサービスです。折りたたみ式のケータイを持つことが若者のステータスになったのも、このmova時代のことです。

そのmovaのピーク契約数は2003年8月の約4,440万件。その後はFOMAへの移行が進み、2012年3月31日にサービスを終えました。19年間の歴史でした。

そしてmovaが終わった後も、「次はFOMAが終わる」とは誰もすぐには実感できなかった。それほど、FOMAとiモードは日本人の生活に深く根を張っていました。


iモードが変えた日常

iモードのサービス開始は1999年2月です。携帯電話でインターネットができる、言葉にすると単純ですが、当時これは本当に衝撃的なことでした。

通信速度は9,600bpsで、今のスマホと比べれば話にならないほど遅いものでした。

それでも、外出先でメールを送れて、ちょっとしたウェブサイトを見られるというだけで、人々の行動は大きく変わりました。

着メロのダウンロード、待受画像の変更、ニュースや天気の確認。

「パケ死」という言葉が生まれたのもこの時代で、パケット定額制がなかったころはうっかりコンテンツをダウンロードしすぎて月に数万円の請求が来ることもありました。

笑えない話ですが、当時を経験した人なら「あったあった」と思うはずです。

iモードの契約数は爆発的に伸び続け、サービス開始から3年足らずで3,000万契約を突破。2010年7月には約4,900万契約というピークを迎えます。当時の日本人の約4割近くがiモードを使っていた計算になります。


FOMAと「世界初の3G」

FOMAのサービス開始は2001年10月です。

「Freedom Of Mobile multimedia Access」の略で、当時のキャッチコピーには「世界初の第3世代(3G)携帯電話サービス」という言葉が使われました。

通信速度は理論値で最大384kbps。movaの約40倍です。動画や音楽を楽しめるようになり、テレビ電話機能を持つ機種も登場しました。

今となっては「テレビ電話なんて使ったことない」という人も多いでしょうが、当時はかなり話題になった機能でした。

FOMAの契約数は2011年に約5,700万件のピークを迎えます。日本の携帯電話市場を文字通り支えた規格でした。


iPhoneが来て、すべてが変わった

転機は2008年です。iPhoneが日本でも発売され、翌2009年にはAndroidスマートフォンも登場しました。

iモードはそれまで「携帯でネットができる」という価値を一手に担っていましたが、スマートフォンは専用コンテンツなしでもPCと同じウェブサイトにアクセスできました。iモード向けに最適化されたサイトを作る意味が薄れ、コンテンツ事業者もアプリ市場へと移行していきました。

2016年にこの記事を最初に書いたとき、すでにiモード対応機種の新規出荷終了がアナウンスされていました。新しいフィーチャーフォンはXi(4G LTE)対応の「ガラホ」へと移行し、iモードではなくspモードを採用するようになっていました。あの時点で、iモードの実質的な役割は終わっていたと思います。

その後、iモードは段階的にサービスを縮小していきます。2019年9月に新規受付停止、2020年3月に「iモード検索」終了、2021年11月に「iモード公式サイト」終了。

そして2026年3月31日、FOMAとともに全サービスが完全に終了しました。


「ガラケー終了」と「フィーチャーフォン終了」は別の話

ここで少し補足しておきたいのですが、「FOMA終了=ガラケー(フィーチャーフォン)終了」ではありません。この混同は今も根強くあります。

折りたたみ型の見た目を持つフィーチャーフォンでも、内部が4G(LTE)対応であれば、FOMAが終了した後も問題なく使い続けられます。2025年8月にもドコモはFCNT製の「らくらくホン F-41F」という4G対応のフィーチャーフォンを新たに発売しています。

「ガラケーはもう終わり」と思っていた方には意外かもしれませんが、フィーチャーフォン自体はまだ現役です。終わったのはFOMAという3Gの通信規格と、そこに紐づいていたiモードというサービスです。


2016年に書いた記事で伝えたかったこと

当時この記事を書いた動機は、料金プランの整理でした。

Xi対応の新しいフィーチャーフォンが登場し、「カケホーダイライトプラン(ケータイ)」という新プランが使えるようになったことで、ガラホを月額1,200円(5分以内通話無料)で運用できる道ができた。それがどれくらいお得なのかを整理したかったのです。

今振り返ると、あの記事を書いた2016年というのは、まさに過渡期の真っ只中でした。iモードケータイが出荷終了を迎え、Xi対応ガラホが登場し、FOMAプランも少しずつ役割を終えようとしていた時期です。

当時はまだ「FOMAが終わる」とは実感しにくかったですが、今から見れば着実に終わりへ向かっていました。


mova、FOMA、Xi、そして5Gへ

ドコモの通信規格の変遷を並べると、こうなります。

  • mova(2G):1993年3月〜2012年3月31日(19年間)
  • FOMA(3G):2001年10月〜2026年3月31日(25年間)
  • Xi(4G LTE):2010年12月〜現在
  • 5G:2020年3月〜現在

movaが終わったとき、「ケータイの一時代が終わった」と感じた人は多かったと思います。

FOMAが終わった今、それよりずっと大きな喪失感を持った人も多いでしょう。それだけiモードとFOMAは、日本人の生活の中に深く入り込んでいたサービスでした。

当時のドコモ吉澤社長はiモード終了に際して「iモードはモバイルインターネットの拡張に大きく貢献した。コンテンツやアプリはほぼそのままスマホに受け継がれ、生き続ける」と言いました。

着メロは音楽サブスクへ、iモードのコンテンツビジネスはアプリストアへ。形は変わりましたが、確かにその系譜は今のスマホの中に生きています。

movaからFOMA、FOMAからXi。次の5Gの時代がどう変わっていくのか、引き続き見ていきたいと思います。

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