昔と比べれば随分減っては来たと思いますが、それなりに多くの方に次のような経験があるのではないか、と思います。
「故障と思ってドコモに持って行ったけど、故障じゃないって言われて返された」
それこそスマホ黎明期には特に多かったと思います。
その頃はスマホの性能自体まだまだ完成度が低く、故障ではなくても故障と思われても仕方ないような動作をすることが頻繁にありました。例えば「電源断」、「フリーズ」などですね。
さらには、利用者側の問題もありました。ガラケーのイメージそのままにスマホを考えてしまい、スマホというものをまったく理解できていなかったために、故障でないものを「故障」と思い込んで慌ててしまっていたケースも少なからずあったはずです。
もちろん今でも、件数は減ったにせよそうしたケースは定期的に発生していると考えられます。
ただ逆を言えば、「やはりこれはどう考えても故障としか考えられない」、という症状が本当に現れていても、たまにしか再現しないため、故障なのに「故障ではない」と判断されてしまうケースも起こりうる、というわです。
ということで今回はこの、たまに現れる「故障なのか故障でないのか判断が難しい故障」を改善させることの難しさについて、考えてみました。
店頭で「再現しないと故障ではない」
基本的に、ドコモのスマホに故障と思われる症状が出てきたら、まずは誰しもドコモショップに持っていくことを考えるでしょう。実際にはもう少し選択肢があるのですが、これがもっとも一般的な選択肢です。
ちなみにiPhoneの場合はドコモショップでは修理受付をしないので、本当の故障ならドコモショップに持って行っても何も解決しません。ただ、利用者が故障と思い込んでいただけの他の何かが原因、という可能性もあるため、「相談」という形でちょっと話を聞く程度に持ち込むのはありだと思います。
ただし、私の経験上、言い方を一歩間違うと「ドコモショップではiPhoneの修理はできません」とけんもほろろな対応をされてしまうので、その辺りは覚悟しましょう。それが嫌なら初めからAppleストアやAppleのコールセンターを利用した方がいいです。
とりあえず今回は、Androidスマホの場合を例として話を進めます。
「故障だ」と思ってドコモショップにスマホを持ちこんだ時にまず確認されるのは、「その症状がその場で再現するかどうか」という点です。
しかしこれは、ユーザー側としては一番納得がいかない部分で、「いつもいつも起こるわけじゃない、今症状が出ないからって『問題ない』といわれるのはおかしい」となります。
完璧に環境・条件が揃わないと発生しない故障かもしれないですが、そもそもショップ窓口でそこまで詳細な検証などしようがないわけですね。なので、ショップではスマホの大筋の機能に問題がないかチェック用の機械を使ったり、利用者の話を聞いた上で「総合的な判断」をしてくれます。
その結果、明らかに故障と断定できる「再現」があればいいのですが、それがなければ、「問題ないようなので、おそらくこうこうこういう理由で起こったのではないかと思われます。こういうことに注意をして、様子を見てみてください」と総合的な判断に基づいた結論が下されます。
その結論にユーザー側としては納得できなくても、実はそのショップ担当者の総合的判断の方が正しいケースの方が多い、という事実があったりします。つまり、「故障に見えるが故障ではない症状」だった、ということです。
相手はプロですし、ドコモが準備した診断基準に沿って判断するのでしょうし、いくつもいくつも症例を見てきている方々ですから、「あ、またあの症状だ」とピンとくるものもあると思います。
なので、もしこうした対応をされた場合、本当に店員さんの言う通りなのではないか、と一度冷静に考えてみる必要はあると思います。
人間の「思い込み」とは本当に怖いもので、「故障だ」と思い込んだら、「故障ではない」という結論を返されても「そんなはずはない」と根拠もないのに自分の主張を信じてしまったりするものです。
ここで重要なのが、相手の言い分を納得できるかどうか、という点なのですが、それについては完全に「相手の店員さんのレベル」に左右されます。
ベテランで、しっかりした根拠を持ち説明してくれる方だった場合、安心して納得できると思いますが、これが「本当に大丈夫かこの人」という店員さんに当たった場合は、逆に自分の中で「自分の正当性」が補強されてしまったりするわけです。しかしそれでも、一旦は矛を収めましょう。単純に確率の問題です。
どんな場合でもどんな店員さんでも、店頭で「故障ではない」という判断をされたのであれば、一度冷静になって状況を受け入れる余裕は持っておきたいところです。
例えば昔よくあった「電源断」。
これも今はほとんどないと思いますが、昔のスマホでは本当に頻発していました。実際ところ電源断は、故障というよりもスマホの性能が低いことで処理の多さについていけずCPUが発熱し落ちる、というケースがほとんどだったのではないかと思います。
しかし、そんなこと言われても、知識がないとなかなか納得できません。現実問題、電源断は発生していたのですから。
そこで強引に修理を頼んだとしても、返ってきてもほぼ変わっていない、ということで結構叩かれた機種もありました。つまりは故障ではなく、性能の問題だったわけですね。
結果的に、スマホはパソコンと違ってメモリ増設やCPUの入れ替えなどもできませんから、処理能力が足りないのであれば「できる限り多くの処理を必要とするようなアプリを入れない」、「アプリを同時利用しない」、「一回一回確実にアプリを終了させる」、「不要アプリは極力消す」、などの対策しかなく、最悪それでも駄目なら、もっと性能がいい機種に買い替えるしかない、という悲惨な状況でした。
しかしそれでも、「故障ではない」わけです。
本当に故障である、ということを店頭でアピールするのは、結構難しいものなのです。
修理とはいっても・・・
それでもやはりどうしてもおかしい、ということで、こちらから強引にお願いするなり、または再現はなくても店員さんの判断で修理に出すことはあると思います。
ただ、修理とは言っても、全体的なテストを実施して問題なければそのまま返ってきますし、問題がある可能性が高いということで修理されて戻ってきた場合も、部分部分が直されるというよりも、中身をごっそり入れ替えて戻ってくるだけなので、「何が原因でどこをどう修理したのか」という部分は闇の中です。というより、そもそもその答えは存在しません。
例えば仮に一部異常が見つかり基板が丸ごと交換されて戻ってきたとしても、本当にそれが原因だったのか、という点についてはあやふやで確証はありません。一応説明はしてくれますが本当にアウトライン程度で、「要するに問題が見つかったので中身の部品が交換されて戻ってきました」という一言で説明が付く程度です。
なので、丸ごと入れ替わって新しくなったはずなのに、また同じ症状が出る、というケースがありえます。原因を特定してそこにフォーカスして修理されているわけではないので仕方がないところです。
ドコモの修理に出すということは、悪いところを直す、というよりも、悪いところがあれば中身を丸ごと交換してもらう、というイメージでとらえておいた方がいいでしょう。
もちろん、個体としての故障ならこれで間違いなく改善します。そして大体のケースはこれに当てはまります。
しかし、ごく稀に機種全体として隠れた原因が別にある場合、そんなことをしても「故障」と思われる症状が消えない場合があるのですね。なかなか厄介です。
本当に「故障である」という状況証拠を集めてまとめておきたい
ここでもう一度思い出しておきたいのが、多くの「故障」と思われる症状が実際には「故障」ではないことが多い、ということです。
当然お店の店員さんたちも、「本当に故障なのか? 気のせいじゃないか? 使い方の問題じゃないのか? 他の原因じゃないのか?」と疑ってかかってきます。
修理に出すということは、当然ドコモ的にはコストがかかるでしょうし、お店的には時間と労力がかかりますから、「明らかに故障でなければ、できれば水際で食い止めたい」という力学が働くのは仕方がないところです。
なので、せめてお店に行く前に、
・いつ起こったのか
・どのような状況で起こったのか
・その時何かアプリは利用していたのか
・LTE通信をしていたのかWi-Fiだったのか
・充電はどれくらいだったのか
・症状がおこる頻度はどれくらいなのか
・場所はどこで起こったのか
・充電中ではなかったか
・OS/ソフトウェアは最新か
・どうしたら改善したのか、しないのか
などなど、とにかく細かい状況をチェックし、伝えられるようにしておくことが大事です。
そうすることでより状況を把握してもらいやすくなりますし、本当に故障なのか、そうでないのかが正しく判断されやすくなると思います。
しかし存在する「故障としか思えない原因不明の症状」
故障に見えて故障じゃないケースが非常に多いとしても、しかしどう考えても、やはり故障としか思えない症状も確実に存在しています。
それが誰の目にも明らかであれば簡単な話ですし、修理に出せばすぐ直ります。
しかし、時にまだ表面に出てきていないソフトウェアの不具合だったり、何らかのハード的な欠陥、というケースも非常に稀ではありますが、なくはありません。そして、これを改善してもらうのは、本当に大変です。
ソフトウェアの問題であれば、改善のアップデートが実施されない限り解決しませんし、そもそも再現パターンがレアケースすぎて症例が多く上がってこないと気づかれない可能性もありますし、それでは改善もされません。
故障がある、と判断されて中身の入れ替え、または場合によってはケースごと入れ替えてほとんど新品のようになって帰ってくることもあるでしょう。しかし、万が一すべての同一機種が同じ故障を抱えているのだとしたら、それでも解決しません。
実際のところ、故障なのかどうかかなり微妙なケースすらあるでしょう。
もし購入して間もなく、明らかな故障症状があれば新品交換してくれることもあるかもしれません。しかしその後何度も故障症状が発生し、修理を繰り返しても直らないということもあるかもしれません。その場合、これは完全にドコモショップ相談です。どういう判断が下されるかはケースバイケースです。
何故故障を繰り返すのか原因は不明だが明らかに故障、と判断されればどうにかしてもらえるかもしれません。
しかし、スマホにありがちな症状の許容範囲で故障とはいい難いと判断された場合はどうすることもできません。
その場合にもどうしても何とかしたいのであれば、選択肢としては、一か八かのケータイ補償(症状によっては使えるかは微妙ですが)、または買い替えしかありません。
昔は、こうしたケースで私はよく機種変更をしました。まぁ、おそらく故障というより性能の問題だったのだと思います。「どうしても直らないならいいや、買い替えてしまえ」という気分でしたが、機種が変われば大体問題は解決します(その代わり別の問題が出てくることはありますが・・・。)
時期的に機種変更も視野に入っている、または経済的に余裕がある、ということであれば、最終的には買い替えは最強の解決法の一つ、ということは念頭においておきましょう。
機種によって、どうしても改善することのない「故障ではないクセ」を抱えている、ということは稀にあるものだと思っています。
ケータイ補償サービスがないと対処しようがない
最後に、ケータイ補償サービスの重要性についてです。
現在のドコモのケータイ補償サービスは、修理代金のサポートをも含んでいるため、もしケータイ補償サービスに加入していないと、故障が発生してしまった時点で手詰まりになる可能性があります。たとえ修理できても数万円もかかるのではどうしようもありません。
10万円以下の機種の水濡れ・全損時などには最強の補償になるdカード GOLDの「dカード ケータイ補償」についても、故障かどうか微妙な症状の場合には役立てられません。→「dカード GOLDケータイ補償の全く触れられていない注意事項とわかりにくい手続き方法を詳細解説」
だからこそ、ケータイ補償サービスの存在は非常に重要なわけです。
docomo with機種の場合は最悪買い替えればいいのでケータイ補償がなくてもどうにかなりますが、大きな端末購入補助が適用されている高額機種の場合には必ずケータイ補償サービスは利用しておきたいところです。→「外してはいけないケータイ補償」