ドコモのAIほけんはまだまだ弱い/提案された保険にすぐに加入してはいけない理由を詳細解説

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ドコモでAIほけんが始まる、という話を聞いて、「保険ってよくわからないから、ドコモでカンタンに提案してくれるなら試してみようかな」、と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

試すのは非常に容易で、公式サイトからいくつかの質問に答えるだけで、最適なお勧めプランを案内してもらうことができます。しかし、これをそのままうのみにしてはいけません。

ドコモのAIほけんで提案してくれる保険の種類を正しく理解しないと、本来必要なはずの保険に加入せず、必要かどうかもわからない保険を選んでしまう可能性があります。

AI ほけんとはそもそもどういうものなのか、どういう保険が案内してもらえどういう保険が対応していないのか、詳しく解説していきます。

ドコモのAI保険は「ほけん」の悩みに応えてくれるサービス

ドコモのAIほけんとは、スマートフォン画面上の簡単な質問に答えるだけで、AIを活用して一人ひとりにおすすめの保険・サービスを提案してくれるサービスです。

保険に関する悩みとしてありがちな、以下のような内容について対応してくれる、という触れ込みです。

 

 

・どの保険が必要なのか分からない。

・保険料が高い気がする。

・私って保険必要なの?

・難しいから全部人任せ。

・申し込みの手続きが面倒くさい。

・加入してから一度も見直しをしていない・

 

いずれも保険におけるよくある悩みですね。これらが一気に解決するなら、非常に嬉しいサービスと言えそうですが、果たしてどうなのでしょうか。

 

AIほけんの特徴

ドコモのAIほけんの特徴を挙げていきます。

 

個々人に合わせた保険/サービスをお勧めしてくれる

身近なリスクに対応する8種類の保険・サービスから、個人のリスクを分析し、一人一人に合わせた保険をお勧めしてくれます。

 

おすすめプランを無料でチェック可能

dアカウントでログインすることで、お勧めプランを無料ですぐにチェックすることができます。

そのため、まずは気軽にお試しできて便利です。

 

予算に合わせてプランニングとカスタマイズが可能

「保険」なので、当然毎月保険料(掛け金)がかかるわけですが、予算に合わせて毎月どれくらいの保険料にするか、調整することができます。

また、プランは細かくカスタマイズすることもできるため、最低月額100円からでも申し込みをすることができます。

 

申し込みはスマホでカンタン/見直しのお知らせも

申し込みに関しては、スマホでらくらくカンタンに実施できます。また、必要な補償が変わると、AIがお知らせしてくれるので、任せて安心です。

 

難しい保険がこのようにカンタンに加入できるのであれば、非常にありがたいサービスということができそうです。

が、実は、こと保険に関する限り、話はそう簡単ではありません

 

ドコモのAI保険には生命保険はない

ここからは、ドコモのAIほけんの問題点をしっかり解説していきます。

 

ドコモのAIほけんは、確かにAIによって最適な「ほけん」を提案してくれるのですが、最大の弱点として、あくまでドコモのAIほけんとして取り扱いのある保険からのみ提案をしてくれるものであり、個人の置かれた環境を正確に把握し、ありとあらゆる保険を網羅して本当に最適な保険を提案してくれるものではありません

そして、ドコモのAIほけんで取り扱いしているほけんは、まだまだかなり限定的です。

 

例えば、ドコモのAIほけんで案内してくれる保険には、一般的に多くの人がイメージする『保険』である「生命保険(定期保険/終身保険)」は含まれていません

つまり、被保険者が亡くなった場合に保障してくれる保険を必要としているのであれば、ドコモのAIほけんは何の役にたちません。

お子様がいらっしゃる方が気にされる学資保険もありません。新しい形としての収入保障保険女性のための保険もありません。老後が心配な方向けの個人年金保険もありません。

それらの保険が必要かどうかはまた別問題として、とにかくAIほけんで提案してもらえる保険の種類がすくなすぎる、という点がどうしても気になるわけです。これでは、最適な保険を提案するも何もありません。

具体的に、AIほけんに含まれている保険の種類を見ていきます。

 

分類 名称 内容
保険 ケガの保険 お客さまご自身が、ケガをした場合の入院・通院費などを補償
損害賠償保険 他人にケガをさせたり、他人のものを壊したりした時などの補償
持ち物保険 お客さまの所有物が外出先で破損・盗難された場合の補償
ゴルフ(ホールインワン)保険 ホールインワンを達成した際のお祝い費用を補償
レスキュー保険 緊急の捜索・救助活動を要する状態になった場合などの補償
がん保険 お客さまご自身が、がんと診断された時の一時金を補償
介護保険 お客さまご自身が、要介護状態となった時の一時金を補償
サービス ネットトラブルあんしんサポート インターネット上のトラブルの予防につながる情報提供とサポートを行うサービス

 

ざっとみてわかる通り、前述したとおり、各種人気の保険がほとんどありません。個人的には必要ないと思っていますが、人気の「医療保険」もないですね。

 

ケガをした場合の傷害保険はありますが、あくまで傷害のみで、病気に対応してもらえません。

ケガの保険には死亡保障までつけることもできますが、あくまで事故によるケガによる死亡の場合に限定されるため、死亡保障としてはかなり限定的で、このためだけに保険料を支払うのはかなり微妙です。

入院・通院に限定するならまだありかとおもわなくもないですが、それにしたって入院・通院する確率を考えたら、保険料分貯蓄しておいたがいいのでは、と思われます。それなら、保険料が掛け捨てになるリスクを回避できます。

 

三大疾病の中から唯一、がん保険だけはラインナップにありますが、がん保険を検討するなら、もう少し広く三大疾病に対応してくれる保険や医療保険まで検討対象に含まれてくるケースもあると思うので、選択肢として弱い印象です。

 

長期的な人生設計に影響する保険としては介護保険が取り扱われていますが、ここも関連保険や別の金融商品まで含めて様々な選択肢があることを考えると、介護保険単独で案内されること自体、やや違和感があります。

 

また、その他の損害賠償保険、レスキュー保険、持ち物保険、ゴルフ保険、などはどれも、シチュエーションがかなり限定されるため、万人が必要とするかと言われるとかなり微妙な保険です。

損害賠償保険はあるにこしたことはないですが、自動車保険や火災保険の特約として個人賠償責任保険がかかっているケースもあるため、そこまでしっかり確認の上で検討しないと片手落ちになります。

 

ネットトラブルあんしんサポートに関しては、どこまで必要性を感じられるかによります。

 

つまりドコモのAIほけんは、あくまで被保険者とその家族の人生を大きく左右する可能性がある保険の取り扱いはなく、どちらかというと比較的「気軽に」申し込みすることができる、人生に影響する可能性が少ない保険を中心に取り扱っている、と考えると良さそうです。

とはいえ、曲がりなりにも「がん保険」や「介護保険」などもあるのですから、全部が全部「気軽に」というわけでもないのですが。

 

いくらAIで最適なプランを、と言っても、人生に大きく影響する保険に関して、現状ドコモのAIほけんですべて網羅しプランニングすることは不可能です。そもそも提供する保険が全然足りません。

結局、もっと詳しい誰かに質問したり、自分で調べたりする必要性がある、という意味で、ドコモのAIほけんの存在意義は現時点で極めて微妙です。

 

「ほけん」はそもそも「カンタン」に加入するものではない

実は、人生において家の次に高い買い物、といっても過言ではないのが、「保険」です。

長期的に考えて、それくらい大きなお金が動きます。

にもかかわらず、カンタンだよ、と言われて「はいそうですか」と即決で加入していい種類のサービスではありません。

「カンタンないくつかの質問」程度の情報で、本当に必要な保険が割り出せるはずがない、というのが、過去、様々な保険を調べてきた私の感想です。

実際に保険を決める時には、人生において自分自身がどういうリスクを抱えているのか、どういう場面で大きなお金が必要になるのかをよくよく考え、これから先自分と家族の構成が変わる可能性や、配偶者、子の人数や年齢、祖父母含めた親戚などの構成まで把握した上で、本当に必要な保険に最小限の保険料で加入する、というのが最も理想的な形だと思うわけです。

それを実現するには現状のドコモAIほけんでは役不足です。

まだ、一部ドコモショップで実施されている「ドコモでほけん相談」を利用した方がはるかに確実だと思います。ドコモでほけん相談の窓口では、オリックス生命などの優良保険の提案もしてくれます。

実際のところ、AIほけんが発表された直後から、個人的にかなり懐疑的に思っていたのですが、実際利用してみてその思いを強くしました。

 

ドコモのAIほけんを一度利用してみて、どういう保険がお勧めされるかを確認してみるのはいいと思います。

その上で、それぞれの保険がどういう保険で、どういう内容で本当に必要なのか、という部分については、それぞれ改めて精査する必要があると思います。

 

新しく開始されたばかりのAIほけんですが、提案された保険に盲目的に加入するのではなく、まずは慎重に見極めて活用するようにしましょう。