ドコモメールはどこへ向かうのか

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少なくとも、スマホが登場するまでは、本当に主役と呼ぶにふさわしい存在でした。

そんな、ケータイにおける通信手段において、長く主役だったツールの名前は「iモードメール」。

やがてスマホの登場とともに、紆余曲折を経てiモードメールはspモードメールに主役の座を譲り、spモードメールは不具合連発を引き起こして様々な話題を提供した後に、ドコモメールにようやく落ち着くに至りました。

そしてようやく落ち着いたと思ったころには、主役の座は完全に、見知らぬ国からやってきた黒船「LINE」に乗っ取られていたのでした。

 

ドコモメールの敗因は昔ながらのEメール機能をいつまでも引きずり続け、オリジナリティあるバージョンアップに完全に失敗したこと、世界中で徐々に増えつつあったメッセージングアプリの潮流に乗り損ねたことです。

実は今も、スタンプデコメを配信したりしながら、存在感を地道にアピールしてはいるものの、もはやスマホユーザーには見向きすらされていません。

友人知人、果ては会社間でのやりとりまで、今はもうLINE一色です。むしろドコモメールをはじめとするキャリアメール利用者が、LINEを使えないことに不便を感じてスマホへの変更を検討する時代です。

仮にメールを利用する人がいたとしても、使うメールはgmailやiCloudメールで、ドコモメールではありません。

ドコモメール=キャリアメール=「使っている人が少数派」=「不便」という図式が成り立ってしまっている現在。

この時代にあって、ドコモメールはどこへ向かうのでしょうか。今ドコモメールはどう使われ、どんなことができ、どんな役割を持つのでしょうか。果たしてドコモがリソースをドコモメールにいつまでもつぎ込むことに意味があるのでしょうか。

 

そしてここに至ってauからは、「ezweb」ドメインを「au.com」に2018年に変更するという謎の発表がありました。

合わせてキャリアメールの現在とこれからについて検証していきたいと思います。

減少の一途「@docomo.ne.jp」のドコモメール

ドコモメールといえば、ドコモ利用者であれば一度は見かけたり利用したことがあるであろう「@docomo.ne.jp」のドメインが有名です。

ケータイキャリアごとに違うこのキャリアメールのドメインは、キャリアの特徴として昔から受け止められていました。

MNPによるキャリア間移動を実施すると、電話番号は引き継ぎすることができても、メールのドメインだけは変更になってしまうという点が非常に不便で、それ自体がMNPの抑止力になっていた時期もありました。

キャリアメールのアドレスには、「昔から使っているメールアドレスだから」と馴染みがある人も少なくなかったんですね。

現在でも、フィーチャーフォン利用者に限って言えば、まだまだiモードメールを利用している人も多く存在しているため、完全にドコモのメールアドレスが役割を終えたわけではありません。

ただしそれも、iモードメールの話であり、spモードメール/ドコモメール利用者、つまりスマホユーザーに関しては、ほぼその役割を終えつつあります。

スマホ普及によるLINEはじめメッセージングアプリの急速な普及がその原因ですが、昨今その馴染みのあるメールアドレスの稼働率は劇的に下がっています。もはや、ドコモメールの設定すらしていない、という人も少なくないのではないでしょうか。

ライバルはLINEだけではありません、gmail、iCloudメールという、競合相手であったはずのau、ソフトバンクともまったく関係ない別のところからやってきた敵に、ドコモメールは完全にノックアウトされてしまったのです。

 

ドコモメールは使えないと気になるけれど、ないならないでも困らない

現状のドコモメールの立ち位置を表現すると、

 

「使えないと気になるけれど、ないならないでもそこまで困ることはない」

 

こんな感じです。

この状態をよく表しているのが、よく不具合が起こることがあるドコモのiPhoneにおけるドコモメールの受信不可事象です。

設定の問題だったり、iOSのバージョンアップをしたりすることで起こることがあるようですが、メールが受信できないという致命的な問題であるにも関わらず、ドコモメールが利用できなくなってパニックになる、というケースは少なくなっているようです。

何故なら、他に主要な通信手段を、iPhoneユーザーは既に獲得しているからです。それはLINEだったりTwitterだったりFacebookだったりInstagramだったりします。

かつては「ないと絶対困る!」、「メールデータだけは絶対に残してほしい!」などという、ドコモメールに対する強いこだわりがあるユーザーも多かったものですが、現在はほとんどそんな話題も聞かなくなったような気がします。

むしろ、「LINEのトーク履歴だけは残したい!」という人の方が多いかもしれません。

すなわち、ドコモメールがコミュニケーションツールの主役ではなくなったから、と言えそうです。

 

クラウド対応後はメール消失リスクが激減したドコモメール

かつてメールは、「消えたら困るデータ」の上位に位置していました。

消えたら困るデータ第一位は当然、電話帳です。電話帳には電話番号とメールアドレスも含みます。

そして第二位が写真、もしくはメールだったわけです。

そのメールの重要性は以前はかなり高いものがあったのですが、重要なやりとりがメールでは行われなくなった、という意味で、必要不可欠なものではなくなってきています。つまり「消えたら困るメールデータ」の存在自体が減ってきているということがあると思われます。

逆に相対的に重要度を増したのがLINEの「トーク履歴」です。

 

現在はドコモメールがクラウド対応したことによって、「メールデータが消える」、というケースはほとんどなくなってきています。

ドコモメールは基本的にサーバーと同期を行っていますので、仮にスマホに故障が発生しても機種変更を実施しても、新しいスマホで改めてドコモメールの設定をすれば、基本的にはそのままの状態で復元することができます。

これが何より、昔と比べてドコモメールが便利になったところです。そのため、昔のようにドコモメールデータのバックアップ、という必要性がなくなったのです。

この点、ドコモ電話帳も同じですし、設定して同期さえしていれば、写真データもフォトコレクションで同じようにいつでもどこでもアクセスできるようになり、さらにはデータはサーバー上に存在しているため万が一のデータ消失に備えることができるわけです。

もっと早くこの機能を搭載していれば、もっともっと役に立ったところなのですが、ドコモメールが使われなくなってしまった頃に、ようやく待ち望んだ機能を手に入れるという皮肉な状況となっています。

 

パソコンからも利用できるブラウザ版ドコモメール

ドコモメールになって非常に便利になった点としてもう一つ挙げられるのが、マルチデバイスでの利用が可能となり、パソコンからも利用できる「ブラウザ版」が登場した点です。

仮にスマホ本体を持っていなくても、ネットにつながる環境さえあれば、dアカウントとパスワードを利用して自分のドコモメールをブラウザ上から確認することが出来ます。

つまりは、gmailやiCloudメールと同じように利用できるということです。

この機能を搭載するまでは、基本的に端末に縛り付けられていたドコモメールの利用が、格段に広がりを持つようになったわけです。

繰り返しますが、もっと早くこの機能を搭載してればもっともっと役にたったはずでした。このころのドコモメールは、ほとんどすべてにおいて後手後手でした。

 

dアカウントとして生き続けるドコモメールアドレス

ドコモメールの稼働率は下がり続ける一方かもしれませんが、ドコモはドコモメールアドレスを別の方法で活用するようになってきています。

それが、dアカウントです。
※関連記事:「dアカウントを理解する

 

dアカウントがまだdocomo IDと呼ばれたころ、しかもかなり初期の時期の話ですが、そのころはまだ、デフォルトでdocomo IDを設定した場合には電話番号が設定されるようになっていました。

しかし現在は、dアカウントを発行する場合、基本的にはドコモメールアドレスが設定されるようになっています。

そのため、現在dアカウントを利用しているユーザーのかなりの割合が、ドコモメールアドレス=dアカウントになっているはずです。

逆にdアカウントがドコモメールアドレスになっていないユーザーは、docomo IDの時代からdアカウントを利用しているユーザーか、こだわりがあるユーザーか、もしくはドコモメール自体が使えない環境にある、すなわちMVNO含む他社ユーザーかのいずれかであると思われます。

むしろ、ドコモのスマホやiPhoneを利用する場合、ドコモメールの利用率よりも、dアカウントとしての利用頻度の方がはるかに高くなってきていると思われます。

そういう意味では、ドコモメールアドレスは、利用用途を変えてドコモユーザーのdアカウントとして、今後もずっと生き続けていく可能性は高いといえます。

 

ドコモメールはキャリアフリーで契約できない

ドコモメールの最も残念な点は、キャリアフリーでの利用ができない、という点です。

ドコモのdマーケット系サービス(dtvdアニメストアdマガジンdヒッツdグルメ等)については、いずれもキャリアフリーで他社ユーザーやMVNOユーザーにも開放されています。

しかし、ドコモメールに関してのみ、あくまでドコモの回線契約を持ち、その回線においてspモード契約があることが必須となっているのです。

つまり、ドコモ契約を解約してしまうと、ドコモメールは利用することが出来なくなります

 

もしこの問題が解決し、ドコモメールもdマーケット系サービスと同様に完全キャリアフリーでdアカウントに紐づく形で利用出来るようになるのであれば、例えばドコモの契約をauに転出したとしても、ドコモのメールアドレス「@docomo.ne.jp」をauスマホでも利用することが出来るようになる可能性が高くなります。

現状でもspモードを契約しているドコモ回線が存在していればそれは可能ですが(WEBメールとしてブラウザから利用可能)、ドコモとの契約が存在している必要があるという条件は、非常に大きな足かせです。これでは自由に動くことができません。キャリアフリーとは言えません。

ドコモに本当にやる気があるのであれば、ドコモメールのdアカウント紐づけによるキャリアフリー化も可能なのではないかと思われるのですが、キャリアメールの存在はドコモユーザーにドコモを続けてもらうための一つの大きなブレーキとしての役割を期待されていたのかもしれません。

しかし気づいた時には手遅れで、もはや今となってはドコモメールに新たな機能を追加する意味が見いだせない状況なのかもしれません。

 

個人的には、この「ドコモ回線がなければドコモメールは利用できない」という制約がなくなり、spモードの月額300円もなくなり、ドコモメール単独でキャリアフリー利用ができるようになるのであれば、メインのアドレスとして利用してもいいと考えているのですが、それではドコモとしての旨味があまりにもなくなってしまうのかもしれません。

既にフリーメールとして世界一のシェアを持つgmailに対抗するような無謀な戦いはしない、ということでしょうか。それはそれで賢明な判断とも言えますが。

 

延々とドコモからメールが送られてくる

もはやドコモメールの役割は、ドコモからの連絡メールが届くという点のみ、という人も少なくないかもしれません。

ドコモからは、キャンペーンのメールや料金のメール、ドコモショップやMy docomoで手続きを実施した場合の控えのメール、ドコモショップからの案内メール、d系サービスからの配信メール、お得情報メール、dポイントお知らせメールなど、様々なメールが送られてきます。

中にはどう考えても必要ないようなメールもあり、あまり頻繁に送られてくると迷惑メール並に邪魔に思えることもあるかもしれません。

もちろん配信停止はできるようになっていますが、ドコモからのメールには必要なメールが含まれていることもありますし、限定クーポン等が送られてくることもあります。ショップからのメールには限定キャンペーンの案内などが記載されていることもありますので、とりあえず目を通すくらいはしておいてもいいかもしれません。

特に注意したい点としては、「お得情報メール」で、このメールの受信は、各種キャンペーンの条件にされていることもありますので、できれば受信するようにしておきたいところです。

 

auのメールドメインの変更

2018年の4月以降、auは今までメールアドレスに利用していた「ezweb.ne.jp」というドメインを新しく「au.com」に変更していくと発表しました。

ドコモのアドレスが「docomo.ne.jp」、ソフトバンクのアドレスが「softbank.ne.jp」とどちらも覚えやすいものであるのに対して、確かにauだけが今まで「ezweb.ne.jp」を利用しており、EZWEBを知らない人からすれば少し覚えにくいドメインとなっていました。

これを新しく、覚えやすい「au.com」に変更していくという内容なのですが、ただし、ドコモメール同様活躍の場が激減しているキャリアメールにおいて、今更感が否めないところです。「なぜ今」という感じですね。

むしろ、この変更が入ることにより、今後auのメールアドレスについては、人に教えてもらう場合にも「ezwebとau.comどっち?」と確認する必要が出てくる分、混乱の元のような気がしなくもありません。

ともかく2018年4月以降は、auのメールアドレスへ連絡をする場合には今までのように安易に「ezweb.ne.jp」と判断できなくなりますので覚えておきたいところです。

 

 

著者

Xp

2 Comments

  1. キャリアメール最大の利点は電話番号で管理されたプッシュ方式だと思いますよ

    GmailなどのIMAPプッシュ等と比べたらレスポンスの早さ電池の持ちの良さを考えると電話番号がトリガーとなるキャリアならではのプッシュ方式は考えるべき猶予があるかと

    例えば何処でもドアフォンや不在中の監視カメラなどの通知はメール送信で知らせる物も有りIMAPなどの方式だと問い合わせ間隔を30秒程度が最小だったかと思いました

    つまりはリアルタイムの観点で言えばキャリアメールはまだまだ顕在だと思います

    知ったがかも知れない
    1. 貴重な情報をありがとうございます。勉強になります。

      Xp

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