格安SIMのIIJmio(アイアイジェイミオ)で、注目のプランが登場しています。
物理SIMを必要としない、eSIMプランです。
まだベータ版、ということではありますが、2019年7月18日よりサービス開始されていたため、試みに早速試してみました。
まず結論からお伝えすると、ドコモのiPhone XSにて、ドコモのSIMを入れたままの状態で、通話はドコモ、通信はIIJmio、という状態を無事、簡単に作り出すことに成功しました。
非常に面白いサービスだと感じましたので、まずはそのeSIMプランについて紹介しつつ、ドコモの格安料金プラン・ギガライトを使いつつIIJmioのeSIMプランを活用する方法について解説していきます。
関連記事:「ドコモのギガライトは本当にお得なのか」
目次
- IIJmioでeSIMプランとドコモのカケホーダイプランを併用してみたい
- IIJmioのeSIMプラン詳細
- IIJmioのeSIMプランを早速申し込み
- eSIM利用開始の手続き方法
- eSIMの絶対的に使いにくい点/SIMプロファイルのインストールは一回限り
- iPhoneのSIMロックは解除されている必要がある
- 思い出されるデュアルSIM・デュアルスタンバイ
- eSIM利用時のテザリングの利用方法/APNを手動設定する
- ドコモSIMと併用でお得に使える!? ギガライトと併用してみた場合
- シェアパック子回線で利用容量が多い回線にeSIMプランを併用させて事実上シェアパックから外してしまうという方法
- 他のMVNOでも広がってくるのか、どういう新サービスが登場するのか、今後の展開を注視
IIJmioでeSIMプランとドコモのカケホーダイプランを併用してみたい
特にサービス開始を待っていたわけでもないのですが、ふと思いたって、IIJmioのeSIMプランを申込みしてみました。
eSIMプランの対象端末が最新iPhone(iPhone XS/XS Max/iPhone XR)のみ、というところをまず確認し、ちょうど現在ドコモのSIMを入れて電話用メイン端末として利用しているiPhone XSに、IIJmioのeSIMプランを契約し、音声通話はドコモ・カケホーダイプラン、通信はIIJmioという状態を作ってみよう、と思ったわけです。
とりあえずeSIMプランについて詳しく内容を理解しているわけではなかったので、まずはざっとサービス内容を確認するところから始めました。
IIJmioのeSIMプラン詳細
ざっと、IIJmio・eSIMプランの概要を見ておきます。
プランとしては一つだけ、「ライトスタートプラン」。月額料金は1,520円(税別)。データ容量は6GBです。高速通信が可能なこの容量のことをIIJmioでは「クーポン」と呼びますが、このクーポンを好きな時にON/OFF切り替えることができるため、必要な時のみ高速通信を利用する、という使い方が可能です。
利用開始に伴う費用は初期費用として契約時の3,000円とSIM発行手数料の200円、合計で3,200円です。(※7月中は初期費用1円キャンペーン中)
利用開始月の月額料金は日割、解約時は月末までの料金が発生します。
データ容量のオプションとして、20GB(3,100円)、30GB(5,000円)を追加するプランが用意されていますが、この辺りは利用価値があるかはかなり微妙です。
eSIMプランは、通常ドコモの契約でも格安SIMの契約でも必ず存在している「SIMカード」という物理的なカードが存在しない契約であり、提供されるものとしては「NTTドコモのLTE/3G網に対応したデータ通信用のSIMプロファイル」のみということになります。
そして、ここが非常に大事なところなのですが、eSIMプランでは、利用できるSIMプロファイルは一つだけ、追加はできませんし、再発行は有料(SIM手数料手数料2,000円)です。使い勝手に大きな影響を及ぼす部分ですが、詳しくは後述します。
クーポン利用時の最大速度は、エリアや機種によっても異なりますが、下り最大1288Mbps上り最131.3Mbpsです。クーポン非適用時は、最大200kbpsとなります。
クーポン残量がない、またはクーポンをOFFにしている状態(最大200kbpsでの通信時)で、3日あたりの通信量が規定値を超えた場合、当該SIMカードを使った通信の速度を制限する場合がある、ということです。規定値とは、3日あたり366MBです。クーポン残量がある時には制限されることはありません。
このほか、追加クーポンを100MB200円で購入することができ、毎月最大30枚まで購入できます。つまり、3000MB、約3GB、6,000円です。ここまで追加するくらいなら、初めからデータオプション20GBや30GBを利用しておいた方がいいです。
IIJmioのeSIMプランを早速申し込み
ということで、幸い手元にドコモのiPhone XSがありますし、データ通信専用プランで6GB月額1,520円なら、格安SIMの中でも安い方だからお得、と判断し、早速試してみることにしました。IIJmioの公式サイトから簡単に申し込みができます。→IIJmio公式サイト
ちなみに解約金はかかりませんが、最低利用期間は利用開始日の翌月末日まで、とされているため、最短解約日まで最低一ヶ月以上はかかります。まぁこれは仕方ないですね。普通そんなに短期で解約することはないでしょうから問題ないと思います。
何より便利だと感じたのが、SIMカードが送られてくるまで待ったりする必要がなく、その日から利用可能になる、という点です。
公式サイトから申し込みをし、必要事項を入力し、支払い方法にクレジットカード(なんでもいいですがdカード GOLDにしました)を設定し、申込は簡単に終了しました。
すぐに登録したメールアドレス宛に登録完了のメールが届き、その後5分もかからずに「利用開始のお知らせ」メールが送られてきました。速いです。
ただ、利用開始、と言われても、eSIMなので物理的なSIMカードがありませんから、どうすればいいのかわからず、ここからしばらく公式サイトで利用開始方法を調べることになりました。
eSIM利用開始の手続き方法
IIJmioから送られてきた、「ご利用開始のお知らせ」のメールです。
URLにアクセスし、アクティベーションコードを利用端末にインストールすれば使えるようになる、とあったので、iPhoneで試してみたのですが、mioIDとパスワードでログインした後、QRコードが出てきてインストールしたいiPhoneで表示してしまうと読み込むことができませんでした。
何か方法があるのかなと調べていましたが、パソコンなどで表示して読み込むよう書いてあったので、素直にそうしました。
読み込む際も、当初QRコードリーダーアプリなどで読み込もうとして失敗してしまいました。最初からちゃんとやり方を読んでおけばよかったんですけどね。
iPhone XSの「設定」から「モバイル通信」を選び、「モバイル通信プランを追加」を選びます。すると、QRコード読み込みの画面になるので、そこでパソコンで表示したQRコードを画面に映すとすぐに、次に進むことができました。
アクティベーションコードを選びます。実際に契約した自分の分しか表示されていませんでしたので、ただ選ぶだけです。
モバイル通信プランをそのまま追加します。
名称は、元々SIMカードを入れているドコモの契約分をわかりやすく「docomo」と変更し、IIJmioのデータ通信分についてもそのまま「IIJ」としました。
デフォルト回線はドコモ、電話やSMSはドコモで利用したかったので一番下を選びました。
設定した通り、デフォルトの音声回線がドコモ、データ通信がIIJmioという状態が出来上がりました。
この段階で、コントロールセンターにはしっかりドコモとIIJmioの両方が表示されていました。
IIJmioでの通信、ドコモSIMでの電話にも無事成功し、設定は完了しました。終わってみれば非常に簡単でした。
eSIMの絶対的に使いにくい点/SIMプロファイルのインストールは一回限り
先に、「これは使いにくいなぁ、注意点だなぁ」と感じたところをお伝えしておきます。
IIJmioのeSIMプランでは、SIMプロファイルは1端末のみでの利用となります。まぁこれは、普通のSIMカードも同じなのでいいのですが、問題は、他の端末にSIMプロファイルを移せない、という点です。
正確には、移せないわけではないです。SIMプロファイルを再発行することで移すことはできます。が、都度再発行手数料が2,000円かかります。
元々eSIMに対応している機種自体、現在のところ非常に少ないのですから、SIMプロファイルを移せない、という点は一見そう問題ないように思えはするものの、それ以外にもSIMプロファイルが再発行となり、再発行手数料(2,000円)が発生するケースがあまりにも多いです。以下の通りです。
・プロファイルを削除した場合。
・利用端末を変更/交換/初期化した場合。
・利用登録以前の状態へデータを復元した場合等。
利用端末を変えるだけでも、機種変更しても2,000円、そしてなんと、初期化しただけでも2,000円です。
「あ、設定間違った。まだ序盤だから一旦初期化してやり直そう」、なんてことは通用しません。
利用端末に何らかの不具合が生じて初期化せざるを得なくなったとしても、やはり2,000円かかります。
まだベータ版です。正式版になる時にはどうにか改善してほしいところです。
せめて同端末利用時の初期化時の再発行くらいは無料にしてほしいところですし、利用端末を都度変えることができない、という点は、私のように頻繁にSIMカードを入れかえて利用している人間にとってはかなりダメージが大きいです。
せっかくですから、iPhone XSとiPhone XS MaxとiPhone XRを都度自由に入れ替えて使いたいです。
これが私が感じた、eSIM最大の問題点です。
iPhoneのSIMロックは解除されている必要がある
IIJmioのeSIMプランは、ドコモの回線を利用しているサービスなので、普通のSIMカードの場合であればSIMロックは解除していなくてもドコモのiPhoneならそのまま利用することができます。
が、eSIMプランの場合は、ドコモ回線とドコモのiPhoneという組み合わせであっても、SIMロックが解除されていなければなりません。要注意ポイントですね。
ちなみに私は、iPhone XSを購入直後にSIMロック解除していたので、何も問題ありませんでした。→「ドコモのiPhone XSに機種変更してSIMロック解除してみた」
私と同じように一括購入されている方は即SIMロック解除可能ですが、分割購入されている場合にはSIMロック解除の要件を確認しておきましょう。
思い出されるデュアルSIM・デュアルスタンバイ
とりあえず、気になったところと言えばそれくらいで、後はeSIMプランは非常に便利で面白いサービスだと思いました。
ドコモのSIMを入れたままで通信だけをIIJmioに、という方法がとれるという点が何より面白いです。
そういえば、ドコモのスマートフォンには存在しませんが、海外スマホなどには、SIMスロットが2つ用意されていて、それぞれ別のSIMカードを入れて利用することができる、という機種があります。
さらに、そうした機種が「デュアルSIMデュアルスタンバイ(DSDS)」に対応している場合、AというSIMを通話、BというSIMを通信、という形で設定し利用することができます。
久しぶりに思い出しました。DSDS。以前、ドコモのSIMとLINEモバイルのSIMをZenFone3に入れて、普通にDSDSで利用していました。以下、もう2年以上前の記事です。→「LINEモバイルSIM+ドコモSIMのデュアルスタンバイは最高の体験」
結局、GalaxyやXperia、最新iPhoneが使いたくてこの使い方はやめてしまいましたが、DSDSは本当に便利でした。
それとほぼ同じ使い方が、今回のIIJmioのeSIMプランで、SIMスロットが1つしかないドコモのiPhoneで実現できてしまったわけです。画期的です。
eSIM利用時のテザリングの利用方法/APNを手動設定する
eSIMが「APN自動選択機能」によって通信できるようになった状態でも、iPhoneの「インターネット共有」を見ると、選択できない状態になっています。
このままではインターネット共有(テザリング)が利用できないので、別にインターネット共有時のAPNを手動で設定する必要があります。
本来、iPhoneでは手動でAPNの設定はできませんが、モバイル通信プランで「iijmio」の回線が表示されている状態で、ここを選ぶとそのまま先に進むことができ、APNの設定ができます。
その中に、「モバイルデータ通信ネットワーク」という項目が見つかり、ここを選ぶとAPNの設定を手動で行うことができます。その中の一番上の「モバイルデータ通信」、そして一番下の「インターネット共有」という部分を見つけることができるので、その両方にIIJmioのAPNを設定します。設定する内容は以下の通りです。
・APN:iijmio.jp
・ユーザー名:mio@iij
・パスワード:iij
この入力を終えた状態で、元に戻ってインターネット共有を見てみると、通常通り利用できるようになっています。
注意点としては、「モバイルデータ通信」と「インターネット共有」の両方でちゃんとAPN設定をしないといけない、という点です。片方しか設定できていないと、正しくテザリングを利用できません。
当初私は、インターネット共有にのみ設定を入れていたので、通信ができませんでした。ご注意を。
ドコモSIMと併用でお得に使える!? ギガライトと併用してみた場合
ドコモSIMとIIJmioのeSIMを併用する場合の最安値としては、やはり新プラン・ギガライトとの利用の場合になるかと思います。
旧プラン・カケホーダイライトやシンプルプランはパケットパックの契約が必須なので、みんなドコモ割で3回線以上という条件を満たせば月額1,980円で利用できるギガライトが最も安いです。
この場合、1,980円+1,520円(eSIMプラン)の合計、3,500円で6GBが利用できる計算となります。ギガライト単独であれば、5GBまでのステップ3で3,980円なので、3GB以上利用する人であればeSIMプランとの併用の方がお得です。
なおかつ、さらに有利な点としては、eSIMプランの場合、6GBを超過しても料金がギガライトのようにさらに上がることがありません。また、高速通信を使いたいとき、使わなくていい時と、自分で判断してクーポンのON/OFFを切り替えられるため、データ容量の節約もできます。
1GBまでのステップ1で毎月収まるとか、3GBまでのステップ2でどうにかなる、という場合にはドコモ単独の方が安くはなりますが、3GB以内というのは意外にギリギリの戦いになってしまうという人も多いと思うので、6GB安心して使えるeSIMプランは魅力的です。
逆に、ドコモをやめて完全にIIJmioにしてしまえばいいじゃないか、という意見に対しては、ドコモを残しておくことで最新iPhoneを購入しやすくなるというメリットが残りますし、ケータイ補償サービスやdカードケータイ補償をドコモで受けられる点は大きな安心になると思います。
dカード GOLDをしっかり活用してキャッシュレス決済「iD/d払い」のお得も存分に受けられます。ドコモを残しておく価値は、十分にあります。
関連記事:「dカード GOLDは本当にお得なのか」
シェアパック子回線で利用容量が多い回線にeSIMプランを併用させて事実上シェアパックから外してしまうという方法
また、こんな使い方もあります。
ベーシックシェアパックの子回線の中に、1回線だけ毎月利用容量がやや多く、おかげで全体のステップをステップ1~ステップ2に抑えられない、というケースがあるとします。
こうした場合に、利用容量が多い子回線がiPhone XS/iPhone XR利用であれば、eSIMプランを併用することで、6GBが確保できます。1,520円かかったとしても、ベーシックシェアパックのステップが上がって3,000円~3,500円も上がるよりお得です。
他にも、うまく活用すれば、様々なケースで活躍しそうな気がします。
他のMVNOでも広がってくるのか、どういう新サービスが登場するのか、今後の展開を注視
とりあえず現状、eSIMプランを展開しているのはIIJmioだけですが、当然今後は格安SIMを取り扱うMVNO各社が参入してくると考えられます。当然、他社対抗として何らかの付加価値を持たせたプランなども出てくると思われます。
iPhoneだけでなく、AndroidスマホでもeSIM対応機種が増えてくることでしょう。
もちろんドコモ自体、eSIMによる物理SIMの入れ替え不要で新規契約や機種変更を完結させる未来を想定していると思われますが、MVNOからの圧力に負けない、eSIMを活用した今までになかった新しいサービスが登場することもあるのか、興味が付きません。
eSIMの今後の展開に関しては、引き続き注視していきたいところです。