世の中の流れは大手キャリアから格安スマホへ、という一方通行の流ればかりが話題にされています。
そんなニュースばかりに触れていると、ドコモやau、ソフトバンクには、ますます契約者数が減少していく未来しか残されていないようにすら、思えてきます。
どうしてそういう一方的な話にばかりなるのかというと、やはり格安スマホ/格安SIMの優位性として「安さ」が圧倒的、という点が理由として考えられそうです。
ドコモはじめ大手キャリアも、過去と比べれば安さこだわった施策やプランはかなり進んできたように感じられはするものの、それでも格安スマホの本体価格や、格安SIMの月額料金の安さにはトータルコストではどうしてもかないません。
しかし、この「安さ」という強力なアドバンテージを持つ格安スマホへの一方通行の流れに逆らい、格安スマホ(格安SIM)からドコモへ回帰したというユーザーも実は、少数ながら存在します。他ならぬ私自身もそうです。
格安スマホは安くて便利で、できるだけ早くドコモやau、ソフトバンクからは変更した方がいいのではなかったのでしょうか。
なぜ彼らは、そして私は、せっかく変更した格安スマホから、ドコモへと戻してしまったのでしょうか。
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格安スマホに疲れてしまった人々
月額料金やスマホ本体の料金についてのみ考えるのであれば、ほぼ確実に格安スマホは大手キャリアのスマホに対して、アドバンテージがあります。
そのため、格安スマホに変更したユーザーの多くが、ある程度の満足は感じていると思われます。
ですが、100%誰もが格安スマホに満足しているわけではないという点には注目すべきです。
最近、格安スマホの苦情が増えているというニュースも増加傾向ですが、格安スマホはコスト削減と引き換えに、一定の「負担」をユーザーに強いるという側面も持っているのです。
格安スマホを利用することにより、ユーザー側に発生する主な負担は以下の通りです。
・スマホ故障時の負担
・対面窓口が少ないことによるサポート面での負担
・通信速度が大手キャリアよりも遅い場合があることによる負担
・電話をかけすぎると通話料が高くなるという金銭的負担(かけ放題系プラン除く)
・すべてにおいて人任せにできないという精神的負担
以上のような負担は、ユーザーにより、また使い方によってはそれほど重要な負担にはならないこともあります。
そのため、それらの負担が即大手キャリアへの回帰へとはつながっていかないのですが、徐々に徐々に、膨らんでいく大手キャリア利用の時には感じなかった負担にユーザーの心は削られていき、場合によっては格安スマホを利用することそのものに疲れ果ててしまうわけです。
そしてその限界を超えたところで、「格安スマホからドコモへ戻そう」という決意が芽生えてくるのです。
コストか負担削減か
負担はそのまま不満となり、格安スマホからドコモに戻そうという流れにつながっていきます。
実際にドコモやau、ソフトバンクへの回帰という行動が発生する場合には、以下の条件が成立していると思われます。
毎月の利用料金を削減したい気持ち < 日々のスマホ利用における負担への疲れ
格安スマホを利用することによる様々な負担が、毎月節約できるようになる月額料金の価値を上回ってしまうと、もはや格安スマホを利用する意味がなくなってしまうのですね。
つまりは「毎月の料金が多少高くても、格安スマホの利用を続けて精神的に疲弊するよりいい」という判断です。
特にこの判断は、経済的にある程度の余裕がある場合には選択される可能性が飛躍的に高まります。
負担が大きくなったとしても、それでも安くしたい、という上記とは逆のパターン、つまり
毎月の利用料金を削減したい気持ち > 日々のスマホ利用における負担への疲れ
この場合には、格安スマホからドコモに戻るという行動が発生することはほとんどないと考えていいでしょう。
ドコモに戻ることで享受できるメリット
格安スマホ/格安SIMからドコモの契約に戻すと、それだけで得られるメリットは非常に多くあります。
だからこそ、それを本能的に理解している人たちにはドコモからまったく動かない人も非常に多く存在し、そのためドコモの契約者数自体が絶対的に減ることは今後もあまり考えにくいという状況です。
では、格安スマホ/格安SIMからドコモに戻した場合の具体的なメリットとしてはどういう点が考えられるのでしょうか。
まず1点目は、やはりなんといってもサポート面をある程度ドコモに投げることができるという点です。
そのため、格安スマホ利用時のように色々と自分で考える必要がほとんどなくなります。普段の使い方にあわせて料金プランの見直しをしてもらい、故障したらドコモショップへ足を運べばほとんどすべて向こうで手続きをしてくれます。ユーザー側としては、与えられた選択肢の中からどうするのかを選択するのみです。
2点目は、様々なバリエーションのスマホを購入することができ、それらが完全にドコモの補償で守ってもらえる、という点です。最新の人気機種を利用することで承認欲求が満たされ、加えて安心をも同時に得られるわけですね。例えばiPhoneの最新機種や、Xperiaの最新機種は、格安スマホ/格安SIMでは手に入りません。
3点目は、ドコモの総合的な満足度の高さを再認識できる、という点です。格安スマホ・格安SIMを使ったからこそ肌で感じられるドコモの優位性が身に染みることもあるでしょう。
他にも、対応サービスの多さや、家族まとめて利用する際のメリット、ドコモ光やdカード GOLDを絡めた場合の還元率の高さなども大きな魅力です。
なんだかんだで、賢く使えばドコモも悪くないな、と感じられる場面も増えてくると思います。事実、私がそうでした。
圧倒的な安心感・ドコモのサポート体制
例えば、格安スマホとして盛んにテレビCMで存在感をアピールしているワイモバイルを例にしてみます。
ソフトバンクのサブブランドとしての位置づけから、格安SIMを展開するMVNO事業者の中でもワイモバイルはかなり資金力がある方だと思われますが、それでも、サポートについては気になるところも多いです。
例えば、電話問い合わせ窓口にフリーダイヤルがありません。むしろ普通の固定番号で窓口が用意されているならまだカケホーダイの対象となるのですが、残念なことに採用されているのはナビダイヤルです。カケホーダイも定額対象外で料金がかかってしまいます。
ワイモバイルユーザーに対してのみ、10分かけ放題の対象となる「151」が用意されているというのが精一杯のところです。
それではと、電話料金がかかることを避けるために公式ページでのチャットを利用しようとしても、タイミングによっては利用できなかったりと利便性に問題があります。
そこで最終的にワイモバイルショップに電話をしてみても、なかなかつながらなかったり結局「来店してほしい」と誘導されてその場で調べてくれなかったりします。
ちなみにこれは最近の私の実体験です。
こちらの言い分としては、
「大したことを聞いているわけではないのだから、その場で答えてくれればいいのに」
「近くに来店しやすい店舗がないから電話で聞いているのに」
「ナビダイヤルでなくフリーダイヤルがあれば、そちらに電話して聞くのに」
と言う不満が芽生えてきます。
もちろん店舗やショップスタッフにもよるでしょうし、例えばドコモショップに電話をしても同じような対応をされる可能性もあります。
しかしこの問題の根本は、やはりフリーダイヤルの問い合わせ窓口がないところから発しているので、やはりサポート体制が大手キャリアとは違うと言わざるを得ないところです。
もしMVNOが大手キャリア並みのサポート体制を確立できたなら、それこそ大手キャリアの存在意義が問われる状況になってきます。
そういう事情から現在は、「安さのMVNO」に対して「品質・充実のサポートの大手キャリア」という具合に棲み分けができている状態です
そう考えると、格安スマホからドコモに戻すということは、安さよりもサポートを重視しているのだとすんなり受け入れられそうです。
今後もこの棲み分けがある限りにおいて、大手キャリアから格安スマホへの移行が一方的に進むことはないでしょうし、逆に格安スマホからドコモへの回帰組ももっと増えてくる可能性もあります。
そして実際に格安スマホからドコモに戻す場合には、忘れずに格安プランのシンプルプランとdocomo withは検討してみましょう。auの場合にはau ピタットプランが開始されていますので、検討の余地ありです。
スマートフォンをめぐる環境は一年一年驚くほど変化しますので、今後の状況にもしっかり興味をもっていきたいところですね。