運動会といえば昔はほとんどが秋のイメージだったと思いますが、最近は春先の運動会もかなり増えてきていますよね。
そして運動会と言えば、我が子の活躍を写真や動画に収めるため、カメラやビデオカメラが大活躍するイベントでもあります。
個人的に、ちょっとしたお出かけや旅行なら、写真機能の優れたスマホが一台あれば十分すぎるくらいに活躍してくれるため、デジタルカメラやデジタルビデオカメラはもはや必要なくなってきているといってもいいと思うのですが、運動会となると話はまた変わってきます。
また、運動会以外にもお子様のイベントとしては、発表会や音楽系のコンクール等、様々なものがあると思います。
そんな場面でスマートフォンやiPhoneは活躍できるのか、できるとしたらどういう機種なのか、検証してみました。
運動会や発表会で重視したいカメラの機能は「ズーム」
スマホのカメラの昨今の進化は素晴らしいものがあり、実際のところハイエンドモデルのカメラ性能があればコンパクトデジタルカメラは完全に必要なくなりましたし、ちょっと見る程度なら、ミラーレスにもデジタル一眼にも負けていないくらいの写真を撮影することができるようになっています。
動画についても、もうデジタルビデオカメラをわざわざ買わなくてもスマホで十分、と言えるクオリティの高い動画を撮影できる機種も多いです。
しかしこれが、お子様の運動会や発表会などで質の高い写真や動画を撮影しようと考えると、どうしても不安が残る部分があります。
たとえば運動会では、必ず動いているお子様を撮影することになるでしょうから、写真であれば動く被写体をしっかりブレずにとらえられるかというところも気になるとは思いますし、それより何よりもっと重要な部分はやはり、写真の場合も動画の場合も、ズーム機能だと思います。
発表会の場合はどうしてもステージから距離があるでしょうから、ある程度のズーム機能がないと厳しいですし、運動会の場合も、誰もが我が子を撮影しようと必死になっている隙間を縫って撮影を実行しないといけないわけですから、どうしても思うように傍に寄れないこともあるはずです。
そんな時にズーム機能がないと、思うような写真や動画が撮影できなくて、たった一回のチャンスを逃し、残念な感じで終えてしまうことになってしまいます。
ということで、スマホ別のズーム機能について簡単に確認してみました。
ドコモスマホのズーム機能
ドコモの主な最新スマホのズーム機能についてまとめてみました。
光学ズーム | デジタルズーム | 光学+デジタル | |
Galaxy Note9 | 2倍 | 10倍 | 10倍 |
Galaxy S9+ | 2倍 | 10倍 | 10倍 |
Galaxy S9 | ― | 8倍 | ― |
Xperia XZ3 | ― | 8倍 | ― |
AQUOS R2 | ― | 8倍 | ― |
P20 Pro | 3倍 | 10倍 | 10倍 |
iPhone XS | 2倍 | 10倍 | 10倍 |
一目みてわかる通り、スマホの場合は光学ズームを搭載している機種自体が、まだまだ少ないです。もちろんこれは、スマホの形状の問題もあります。
薄さや軽さ、持ちやすさをより追求する必要があるスマホにおいて、搭載可能な光学ズームは物理的に限度がありますし、そもそも現在光学ズームを搭載している機種ですら、デュアルカメラ/トリプルカメラとして「望遠レンズ」を別に用意し、切り替えを実施することで実現していたりするわけです。
HUAWEI P20 Proが唯一光学3倍ズームに対応しているものの、それ以外は2倍、または光学ズーム自体対応していませんが、やむを得ないことでもあり、そして光学ズーム2~3倍辺りが、もしかしたらスマホとしての限界なのかもしれません。
一方で、デジタルズームについてはどの機種もほぼ8倍~10倍という水準のズームを搭載しています。
光学ズームとデジタルズームの違いについてはここでは詳しくは解説しませんが、要は、光学ズームだとズームによって画質が落ちることはありませんが、デジタルズームは単純にデジタル的に拡大するため、ズームをすればするほど画質が劣化します。
そのため、運動会や発表会などのイベントである程度距離がある遠方を撮影したいのであれば、デジタルズームではなく光学ズームにこだわる必要があります。
実際にドコモスマホでズームを利用して写真を撮影してみた
ドコモのスマホやiPhoneにおける、ズーム機能が数字としてどれくらいなのかは上記でご案内した通りなのですが、ではその光学2倍ズームやデジタル10倍ズームがどれくらいの画質で撮影できるのか、実際に試してみました。
比較の際の参考に、ミラーレスカメラとSONYのデジタル一眼カメラ「α7Ⅱ」、そして動画用に光学30倍ズームを搭載したデジタルビデオカメラを準備してみました。
撮影対象に選んだのは、Googleマップで測定して630メートルほど離れたマンション。
それぞれの機種で、デジタルズームを含めて最大まで拡大した状態で撮影してみました。
肉眼でもかなり遠いのですが、それでもさすがにデジタルズーム最大10倍が可能な機種は、それなりに綺麗に撮影ができます。
デジタルズーム最大10倍の機種は、どれもカメラ性能が抜群にいい機種ばかりなので、どれをとってもそう大差ない画質でした。
例えば被写体が人の場合だと、さすがに600メートルも離れていると顔はまったく判別できませんが、運動会や発表会などでの被写体であるお子様との距離は、せいぜい数メートルから10メートル程度ではないかと思うので、画質にこだわりさえしなければ、それなりに見える写真を撮影することが可能です。
ただ、ずっと残しておきたい写真としては質がどうしても低くなってしまうので、私は個人的にはこれでは耐えられません。
試みに、ミラーレスカメラで同じように試してみましたが、これは正直、スマホの方がまだマシかな、と思えました。ではデジタル一眼カメラのα7Ⅱならどうかというと、望遠レンズを別につけているわけでもないので、ズーム機能はこちらもそう大したことはありません。ただし、光学ズームだけで撮影した写真をデジタルで拡大していくと、細部がスマホよりもしっかり撮影出来ており、さすがにその辺りはデジタル一眼カメラ、というところでした。
具体的には、スマホやiPhoneでは判別不能だった、マンションに表示してあるマンション名をしっかり判別できる程度には、デジタル一眼カメラで撮影した写真の方がきれいに撮れていました。
個人的には、静止画で遠方を撮影したい場合、光学ズーム30倍~50倍のデジタルカメラも最近はかなり安く販売されていますので、むしろそちらが気になります。わざわざαシリーズのようなデジタル一眼を購入しなくても、利用用途によっては光学ズーム特化のデジタルカメラでも十分満足できるかもしれません。
私はデジタル一眼で望遠レンズなどは使いこなす自身がないので、そうした光学ズームに特化したデジカメを近々購入してみようと思っています。
ドコモスマホで動画のズームを試してみた
次に、同じように動画を試してみました。
実はこれについては、私は以前、子供の発表会本番でデジタルビデオカメラとスマホで撮り比べてみたことがあるので結果はわかりきっていましたが、一応再度確認しました。
スマホでのデジタルズーム10倍の動画は、デジタルズーム10倍の写真をそのまま動画にして動かしたもの、と考えるとわかりやすいです。
それに対して今回参考に比較したデジタルビデオカメラは光学30倍なので、画質がまるで違います。
ということで、動画についても写真同様、10メートル前後の距離であればそれなりの動画をスマホでも撮影可能ではあるものの、本職のデジタルビデオカメラと比較すると光学ズームの性能が違いすぎて全くかないません。
画質にこだわって記録を残しておきたいと考えるのであれば、運動会や発表会という限定されたシチュエーションではスマホのカメラは役不足と考えて間違いないでしょう。
スマホのカメラの弱点は「距離」
普段使いでは静止画も動画も万能で、もはやデジカメもデジタルビデオカメラも全く必要ないほどの性能を有しているスマートフォンのカメラですが、以上みてきた通りどうしても弱点になるのが、「距離」です。
そのため、「カメラ性能が最高にいいスマートフォンを買えばデジカメもデジタルビデオカメラもいらない」と考えている場合、思わぬところで残念な気持ちになってしまう可能性があるため、「スマホのカメラは光学ズームが弱い」という点だけは意識しておきたいところです。
もちろん、お子様の運動会などのイベントごと以外では、それほどズーム機能を必要とするケースはないと思うので、ご自分の利用状況・利用シーンを考えながら、スマホだけで目的を満たすことができるのか、それとも別に光学ズーム機能に優れたデジカメやデジタルビデオカメラがあった方がいいのか判断しましょう。