最近よく問い合わせを受けるのですが、ドコモのいちおしパックが、かなり実店舗でお勧めされているようです。
実店舗でのオプション関係について、以前のように半強制でつけられた、値引きを条件につけるよう言われた、というような話は最近は特にドコモショップではなくなっているようですが、それでも「いちおしパック」が現在さかんにお勧めされているという話に、「いちおしパックの一体どこがそんなにお勧めなのだろうか?」と普通に疑問に感じ話を聞いてみました。
すると、出てきたお勧めポイントは共通して、万が一の際の補償「あんしんパックモバイルサポート特典」でした。そこをフックに話が進められている、というわけです。
なるほど、いつの間にかこういうものがいちおしパックの特典として登場していたんですね。納得です。全然知りませんでした。
ただ、実際のところ、月額500円のいちおしパックに加入するほど、「あんしんパックモバイルサポート特典」は重要なのでしょうか。
検証してみました。
ドコモのあんしんパックモバイルサポート特典の内容
ドコモの「あんしんパックモバイルサポート特典」とは、「あんしんパックモバイル」と「いちおしパック」の両方を契約している場合に適用される特典です。
利用中のスマホに万が一の故障等が発生した際に、ケータイ補償サービスを利用すると、最大で5,000円分のdポイント(期間・用途限定)が還元される、という内容です。
つまり、例えばAndroidスマホで全損の故障が発生した場合、あんしんパックモバイルに加入していればケータイ補償サービスの「交換電話機のお届け」を利用すると思います。その際にかかる費用は7,500円。iPhoneであれば機種によって11,000円がかかります。
補償での交換とはいえ、それなりに負担がかかりますよね。その際に、いちおしパックに加入していれば「あんしんパックモバイルサポート特典」が適用されて、dポイント(期間・用途限定)が5,000ポイントもらえる、というわけです。これにより、実際の負担額は下がるので安心度がより高まります。
ちなみに、もらえるdポイントの有効期限は進呈日を含めて60日間です。
さて、この「あんしんパックモバイルサポート特典」、加入の価値があるでしょうか。
あんしんパックモバイル+いちおしパックの負担額
そもそも、スマートフォンに万が一の故障が発生した時に備えるのが、ケータイ補償サービスであり、あんしんパックモバイルです。既にこの補償を付けた時点で、それなりの負担が月額料金として発生します。
ケータイ補償サービス単独なら月額500円から1,000円、あんしんパックモバイルとしてなら720円から1,220円です。
年間にすると、ケータイ補償サービスで6,000円~12,000円、あんしんパックモバイルなら8,640円~14,640円もかかります。
月額料金 | 年間料金 | |
ケータイ補償サービス | 500円~1,000円 | 6,000円~12,000円 |
あんしんパックモバイル | 720円~1,220円 | 8,640円~14,640円 |
あんしんパックモバイル +いちおしパック |
720円~1,220円 +500円 |
8,640円~14,640円 +6,000円 |
このあんしんパックモバイルの補償料金に、「あんしんパックモバイルサポート特典」を得るためにいちおしパックを申込みするのであれば、月額500円がプラスになり、年間では6,000円が加算される形となります。
つまり、一年間であんしんパックモバイル+いちおしパックで14,640円~20,640円もの負担が生じます。
これが二年なら倍、あんしんパックモバイル+いちおしパックで29,280円~41,280円です。
利用している機種にもよりますが、もしスタンダードモデルを利用しているのであれば、普通に一台買えるくらいの金額になります。そしてこの金額が、もし補償を必要としないまま過ごせば全額掛け捨てで消えます。
これをどう考えるかで、補償に対する考え方、「あんしんパックモバイルサポート特典」を得るためのいちおしパックの捉え方が変わります。
あんしんパックモバイルサポート特典は、いちおしパックの「オマケ特典」と考える
一つの考え方ですが、そもそも故障が発生したら修理や交換を考えず、そのまま買い替えをする、ということであれば、ケータイ補償もあんしんパックモバイルも、もちろんいちおしパックも必要ありません。
馬鹿にならない月額料金の負担を、一気に減らすことができます。
最新スマホの安定感と不良機にあたる確率、自分の責任で故障させてしまうリスクを考えた結果として、私は最近はケータイ補償サービスのみ一定期間契約をし、ある程度のところで廃止にするようにしています、
それでも問題はまったく発生していません。
もちろん、自分自身のスマホの取り扱い方によって、リスクがかなり高まることも考えられるため、それが最適解かどうかは人によります。ただいずれにしても、月額500円、年間6,000円を支払ってまで、最大5,000円分のdポイント(期間・用途限定)を得るために、いちおしパックに加入する意味は、全くないような気がします。
一年に一度ケータイ補償を利用する確率が、どれほどあるか、という話です。仮に一年に一度利用したとしても、それでも支払っている月額料金を考えればマイナスです。
つまり、いちおしパックを、「あんしんパックモバイルサポート特典」という観点からのみ考えるのであれば、これは申し込みはしない方がいい、と思います。
ただ、いちおしパックというサービスは、「あんしんパックモバイルサポート特典」以外にも特典があり、そちらを使いたいとか、有意義に使う自信がある、ということであればその限りではありません。
つまり、いちおしパックの利用は、「あんしんパックモバイルサポート特典」以外の部分を使うかどうかで申し込みするか判断したがいい、ということです。
あくまで、「あんしんパックモバイルサポート特典」はその他のいちおしパックの特典のオマケとして存在していると認識しておく方がいい、ということです。
「あんしんパックモバイルサポート特典」のオマケとして、いちおしパックのその他特典が存在していると考えてはいけません。逆です。
dカード GOLDのdカードケータイ補償も忘れてはいけない
もしdカード GOLDを所有しているのであれば、dカードケータイ補償の存在も忘れてはいけません。万が一の際に最大10万円が補償されます。→「dカード GOLD ケータイ補償の全く触れられていない注意事項とわかりにくい手続き方法を詳細解説」
利用対象となるケースが通常のケータイ補償サービスよりも狭くはなるものの、全損時などには非常に使えるサービスであることは間違いなく、しかもこちらは月額料金などが発生するわけではないため、dカード GOLDを持っている方にとっては「最後の手段」として活躍してくれる、非常に頼りになる補償です。
それも踏まえると、やはりいちおしパックの「あんしんパックモバイルサポート特典」の必要性には疑問を呈すしかありません。
ただし、dカードケータイ補償は、通常のケータイ補償サービスとは役割が異なるため、dカード GOLDのdカードケータイ補償があるからケータイ補償サービスは必要ない、ということではありません。
むしろ、ケータイ補償サービスは、一定期間は加入しておいた方がいい、と個人的には考えています。
ケータイ補償サービスがないと故障時の修理代金サポートが適用されない
ケータイ補償サービスを申し込まなかった際の最大のリスクは、スマホが故障した際の修理代金サポートが適用されないという点です。
そのため、ケータイ補償サービス未加入の場合、自分では大した故障ではないと思っていたら、予想外に修理代金が数万円もかかった、という展開が十分に考えられてしまうわけです。これは大きなリスクです。
そのため、一定期間、個人的には「この期間内に故障が発生したら特に負担が大きい」と感じられる最初の一年を目途に加入するようにしています。それを超えたら、万が一故障したら諦めて買い替えます。が、実際には大切に扱っていれば最近の機種はそうそう故障はしません。
スマホへの補償は、それとdカードケータイ補償で十分です。無駄に月額料金を増やすことはしたくありません。
そもそも保険の意味を見失わないようにする
日本人は保険が好き、とよく言われますが、保険の意味をしっかり考えて加入している方は意外に少なかったりもします。
そもそも保険は何のために加入するのかというと、万が一の際、自分の力では対処しようがない金銭的補償を得るために加入するものです。
例えば生命保険(定期保険)であれば、一家の大黒柱に万が一のことが起こった時に、家族の生活を保障するために保険金をかけて準備しておくものであり、万が一のことが起こっても、自己資金でどうにかなるということであれば、わざわざ保険に加入して保険金に期待する必要はないわけです。
しかし一般的に、大黒柱がいなくなっても生活に困ることはない、という家庭はごくごくわずかと考えられるため、想定外の事態に対処するために、数千万円~数億という単位の保険金を万が一に備えてかけておくのです。この場合、大きな保険金を得るために、多くのケースで保険料は掛け捨てになります。掛け捨てにならない貯蓄を含んだ保険は、保険料は高く、保険金は少なくなり、本来の目的を果たせません。
保険を選ぶ際には目的を見失ってはいけません。
それと同じで、スマホの補償に関しても、目的もわからず加入すると、無駄に月額料金ばかり高額になり、大きな損をしてしまいます。
目的は、万が一のスマホの故障の際に、できる限り負担を少なくしたい、ということだと思います。しかし、そのために2年間で数万円も月額料金がかかるのであれば、その分をそのまま積み立てておけばいいという話です。その方が、何もなかったときは支出はゼロです。何かあった時は、積み立てた分を購入資金に充てればいいです。多少手出し分があっても、それは仕方ありません。結果論です。
確率的に、2年間何もない可能性の方がはるかに高いのですから、本来ケータイ補償サービス自体加入しなくてもいいと思っています(※もちろん人によります)。
が、それだと心理的な負担もあるので、私個人は、一年程度の月額料金は掛け捨て分として受け入れ、その間だけは補償に守られていよう、と考えているわけなのです。
いちおしパックの年間6,000円の価値
いちおしパックには、スゴ得コンテンツ、my daiz、クラウド容量オプション+50GBが含まれています。
もし、子育て応援プログラムの利用があれば、クラウド容量オプション+50GBはお子様の小学校卒業までは付いてくるので必要ありません。→「ドコモの子育て応援プログラムはお得なのか」
と考えると、スゴ得コンテンツとmy daizのみ。この二つのサービスを、月額500円、年間6,000円かけるだけの価値あるサービスと思えるでしょうか。
幸いにも、いちおしパックは他のdマーケット系サービス同様、初回31日無料が適用されます。
そのため、まずはその期間を活用して、スゴ得コンテンツなどのサービスを最大限活用してみましょう。
その上で、価値あり、と感じれば継続しましょう。当然その場合、あんしんパックモバイルの利用があれば「あんしんパックモバイルサポート特典」もついてきます。
が、もし月額500円の価値を見出せなかったなら、解約してあんしんパックモバイルサポート特典はあきらめましょう。
ついでにあんしんパックモバイルも精査して、ケータイ補償サービス以外のサービスが必要かどうか、検討してみましょう。
ドコモは高い、と感じられている方は、こうした見直しができていないことで通常以上に高くなっているケースもよくあります。まずは無駄なものは極力省く、という意識をもって、必要なサービスを必要な分だけ利用するようにしてみることをお勧めします。