認知度も利用者も毎年どんどん増えてきているMVNOが提供する格安SIM。
格安SIMを利用して毎月の利用料金を安くし、スマホ本体はもともと持っていたドコモのスマホを利用するもよし、格安スマホを入手するもよし、極力費用が膨らまない方法を選択することで、今までのキャリア契約と比べると、格段に安く利用できるようになります。
しかし利用者が増えるにしたがって、トラブルも急増しているようです。契約の絶対数が増えればトラブルが増えるのは、これは仕方ないことでもありますが、せっかくの格安SIMライフで後悔しないように、格安SIMを利用するにあたっての注意点はある程度把握しておきたいところです。
また、MVNO格安SIMを利用したいと思っても、以下取り上げている項目に当てはまる人はドコモやau、ソフトバンクなどの大手キャリア契約をそのまま継続した方がいいかもしれません。
少なくとも、そのまま格安スマホを購入して、格安SIMデビューをするのは危険です。ドコモから格安SIMにしてはいけない人とはどういう人なのか、しっかり確認しておきましょう。
関連記事:「ドコモをやめたい人の『はじめてMVNO・格安SIM入門』」
危険度1.電話をかける頻度が多い人
大手キャリアのスマートフォンやケータイでは、既に完全通話定額制が導入されています。
ドコモが先駆けとなって開始した「カケホーダイ&パケあえる」を筆頭に、三大キャリアともにほぼ同じ内容、変わらない料金にて通話定額プランを設定しています。→「ドコモのカケホーダイプランはお得なのか」
そのため、電話の利用が多い人については、下手にMVNOの格安SIMに変えて通話料金を高くしてしまうくらいなら、そのままドコモなどのキャリア契約を継続した方がわかりやすく便利です。
昨今、通話定額を実現している格安SIM・MVNO事業者も増えてきましたが、通話品質で比較するとまだまだIP電話品質だったり時間制限付きのプレフィックス型の通話だったりと、ドコモのVoLTEを含む通常の通話品質との差は歴然としています。
完全通話定額制であるドコモの「カケホーダイプラン」と同等サービスとしては、楽天モバイルの「楽天でんわ かけ放題」などがありましたが、2018年2月末をもって廃止が発表されるなど、格安SIMにおける「かけ放題」サービスは曲がり角に差し掛かりつつあります。
そもそも、格安SIMで用意されている「かけ放題」を利用すると、結局格安SIMを利用するにあたっての「格安」という利点が失われ、全体の料金はどうしても高めになってしまいます。そうなると、一体何のために格安SIMを使っているのか、という話になってしまいます。
ゆえに、通話を含めて比較するのであれば、まだまだ格安SIMよりも大手キャリアが優位にあります。
加えて、最近は利用している人もかなり減ってきていると思いますが、格安SIMを利用すると今までドコモで利用してきた「@docomo.ne.jp」のメールアドレスが使えませんので、このアドレスを継続して使いたいと考えている人は注意が必要です。
危険度2.月々サポートが残っている人
毎月の利用料金から割引をすることで、端末代金の割賦金額を実質割引する仕組みであるドコモの月々サポート。auでは毎月割、ソフトバンクでは月月割と言います。いわゆる端末購入補助ですね。
もしこの月々サポートが残っている状態でパケットパックやシェアパックなどのインターネット部分を廃止にしてしまったりドコモ自体を解約したりすると、同時に月々サポートまで終了してしまいます。
そうなると、せっかく格安SIMにして毎月のスマホ料金を安くしたのに、結果的に本体代金の割賦金額が継続課金されてしまう形になってしまうため、毎月の利用料金は今までとまったく変わらない形になるというリスクがあります。
もし割賦金額が継続しても格安SIMにした方が安くなるのであれば十分メリットはありますが、そうでなければ何のためにMVNO・格安SIMにしたのかわかりません。
このリスクを回避するためには、二年の月々サポートが終了した後に、MVNOへと転出する必要があります。
ただし、月々サポート終了のタイミングと、2年縛りの解約金がかからないタイミングは必ずしも一致しないため要注意です。
割賦は終わっていたけれど、更新月はもう少し先だったため解約金がかかった、という展開は十分考えられます。
格安SIMにした後に月々の支払いを残さないためには、まずは先に解約更新月を確認しておき、そのタイミングで転出、残った端末代金は一括で支払うという方法をとるか、もしくは端末代金の割賦支払いが終了したあとの解約更新月に転出するかのどちらかとなります。
危険度3.利用端末が故障してしまったので格安SIMへ転出しようと考えている人
故障をきっかけに機種変更や他社へのポートアウト(転出)を考える人も少なくないと思われますが、故障をきっかけとしたMVNOへの転出の場合、同時に端末購入をする必要性が出てきます。
利用端末をどうするか、というのはMVNOの格安SIMを利用する際の一つの注意点であり、大手キャリアで利用していた端末が故障で使えないとなると、格安SIMを利用するための格安スマホを購入するしかありません。当然のことながらその場合、格安スマホの購入代金がかかります。
OCNモバイルONEのように格安スマホセットプランがあるMVNOを選んでもいいですし、格安スマホのみネット上などで単独購入しておき、その端末に対してMVNOのSIMを入れて利用してもいいでしょう。
ただし単独購入の場合、格安SIMで動作確認が取れている機種なのか、SIMのサイズは間違いないのかなど、しっかり確認しておく必要があります。
格安スマホをセット購入する場合、「格安」とはいいながらも、ある程度のスペックを要求すると少なくとも2~5万円程度は端末価格にとられる可能性があります。
それでもトータルの金額としては安くなることはほぼ間違いないですが、できることなら故障したドコモスマホ端末を修理するなりケータイ補償サービスで交換するなりした上で、端末が万全の状態でMVNOの格安SIMは利用検討した方が、コスト的にはよりお得にはなりますが、格安SIMに変えたあとは基本的にドコモ端末の修理はできなくなるため、自己責任の比率は高まります。
「格安SIMを利用するのに合わせて、格安スマホも手に入れたい」という人が多いのは、余分な手間とトラブルをできる限り抱え込むことなく、すぐに利用できるようにしたい、という意図もあります。スマホにあまり詳しくない、という人には格安スマホ購入コストはかかるものの、こちらの方がお勧めです。
格安スマホセット購入の場合、SIMカードが対応していないとか、設定が難しいとか、SIMロックがかかっていて使えないなどのトラブルはある程度防ぐことができますので、できる限り格安スマホと格安SIMの同時契約を積極的に検討しましょう。
ちなみに、故障に伴う格安SIMへの転出の場合、危険度2で述べた端末残金および解約金リスクは同時に背負いこむことになりますので要注意です。
危険度4.スマホの自損故障リスクが高い人
MVNOにおいて格安SIMを利用する場合、最大のリスクは、端末故障リスクです。
利用しているスマートフォンが故障してしまうと、対応に困るケースが非常に多くなります。
例えばドコモ製のスマホを使っていたとしても、購入から一年を過ぎていれば定価で修理を行うしかなくなるために数万という金額が修理に必要となります。(※Fシリーズ以降の場合・参考:「外してはいけないケータイ補償」)
ドコモの契約を解約してしまっていたらケータイ補償もないので、水濡れや全損、紛失の場合は完全にアウトです。
結果、選択肢としてはスマホ本体の買い替えしかなくなってしまうのです。
故障するたびに買い替えをしていたら、そのたびに数万円という端末購入代金がかかります。それでは、お金がいくらあっても足りません。
そのため、現在の利用端末を頻繁に自ら故障させてしまったことがある人、今後も故障させる可能性が高い人は要注意です。
特に水濡れ、破損などは、ちょっとした注意で防げるはずなのに、まったく防げていない人が多いのは、不幸な偶然のほかにも性格的、環境的要因からリスクが高い人たちが存在するからです。
例えば農業をしていて常にスマホを身に着けておけば、落とすリスクは高まりますし、水濡れしてしまう危険性もあります。内勤の人と比較して、確実に故障リスクは高いはずです。
そうした人は、MVNOの格安SIMにもし変更してしまうと、万が一の故障の際に行き場を失います。
まずは自分自身がスマホを故障させてしまうリスクをしっかり認識し、そのうえでMVNO利用を検討した方がいいでしょう。
ただし、最近はMVNOにおける格安スマホに対する保証もかなり充実してきました。
OCNモバイルONEの「あんしん補償」を利用すれば、おおよそドコモのケータイ補償サービスに似た内容で格安スマホに対しても補償がつけられます。
格安スマホの利用に対するハードルは、かなり下がってきていると考えてよさそうです。
ただ、格安スマホ利用時のトラブルの一つに、スマートフォン故障時に代替機が借りれなかった、という項目もあるようなので気を付ける必要があります。格安SIM事業者では、故障時の代替機貸出は一切実施していないところがほとんどです。
危険度MAX.致命的にスマホにうとい人
格安スマホおよび格安SIM利用時の最大のリスクは、スマートフォンに致命的にうといケースです。
「私はスマホなんて全然わからない。すべてお店で設定等してもらっている」と、自信をもって言える人は、格安スマホや格安SIMの利用は向いていないかもしれません。いくら毎月の料金をできる限り安くしたいと考えたとしても、ドコモやau、ソフトバンクに残る方向性を探った方がよさそうです。
なぜなら、格安SIMを提供するMVNOの場合、キャリアのような対応窓口が一般的に非常に少なく、わからないからといってすぐに対面で対応してもらえるわけではないからです。
そのため、ある程度は自己解決できる能力が求められます。
もちろんこの、「サポートが大手キャリアに対して弱い」というのがMVNO最大の課題でもあるため、様々なサポートが徐々に充実してきているのは間違いありませんが、それでも今までキャリアショップで散々一から十までサポートしてもらっていた人にとっては物足りないものだと思います。
高めの料金を払ってサポートと安心を買っていると思って、ドコモなど大手キャリア契約を継続するのも一つの選択肢です。
しかし毎年少しずつ、時代は変わりつつあります。
そんな弱点を理解しているMVNO事業者は、少しずつではありますが着実に、サポートに力を入れ始めています。
そして逆に、大手キャリア側にも変化が出てきています。
格安SIMの躍進により料金面の見直しをせざるを得なくなりつつある大手キャリアは、ドコモによるdocomo with、シンプルプランによってかなり安く利用することができるようにもなってきましたし、auからは対抗プランとしてau ピタットプラン/au フラットプランも開始されました。
コスト面を重視するにしても、あえて格安SIMに変えず、大手キャリアのまま残るという選択肢も出てきているのです。格安スマホには自信がない、という方は、今のタイミングなら焦って変更しなくてもいいかもしれません。
徐々に、格安SIMと大手キャリア間の差は縮まってきているのです。
以上、MVNO・格安SIMに変えてはいけない代表的な5パターンでした。
元々最初にこの記事を書いた時から、少しずつ状況は変わりつつあります。
以前は上記の5パターンに当てはまる場合には「絶対に変えてはいけない」としていましたが、今はそこまでガチガチに「絶対」とまでは言いませんが、一周回って引き続き「大手キャリアも変わりつつあるので、自信がないなら残った方がいい」と感じています。
通信業界は少しずつ変わっていきます。
もちろん、一人一人状況は違いますので、自分の場合はどうなのか、この場合はどうなのかと考えることが大切です。
自分にとってもっとも適したスマホライフを見つけていきましょう。
参考情報:格安スマホのトラブルが急増している?
最近、格安スマホのトラブルが急増しているというニュースも増えてきました。
その見出しだけ見ると、「なんだ、やはり格安だからトラブルだらけなのか」と思われてしまいそうな感じです。
少し前には格安旅行会社の破産などもありましたし、やはり「格安」の裏には経営の圧迫という避けられない宿命があるのかもしれないと思われると、格安スマホのイメージもかなり悪くなってしまいます。
しかしトラブルになっている多くのケースが、上記の注意事項だったり、今までの大手キャリアとの同じサービスを求めすぎたが故のトラブルばかりです。
安さゆえの不便な点はもちろん何かしらあるわけです。それを受け入れてなお、格安で利用したいユーザーにこそ格安SIMは向いており、有意義に活用できるのです。
確かに格安スマホ市場に関して、昨今はあまりにも多くのMVNO事業者が乱立しすぎた感があります。
もう大体折り返し地点は過ぎたかな、というところですが、いったん頂点にのぼりつめたMVNO事業者の増加が減少に転じると、あとに待っているのは転がり落ちるように減っていく、業界全体の淘汰の嵐です。この淘汰の波は、FREETELが楽天に買収されたり、LINEモバイルがソフトバンクの子会社になったりと、確実に始まっています。
実力あるMVNOのみが生き残り、中小事業者は行き詰って吸収合併統合など、行き着く先はかつてのインターネットサービスプロバイダーと同じなのかもしれません。
利用者側の立場としては、できる限り将来にわたって安定している、トラブルの少ない格安スマホを選びたいはずです。どうすれば、そして何に注意しどこを選べば安心して格安SIM/格安スマホを利用していけるのでしょうか。
その答えは明確で、簡単です。シェアの大きい格安SIMを選ぶか、将来的な安定性に確信が持てる格安SIMを選ぶか、です。
シェアの大きな格安SIM事業者といえば、やはりNTTコミュニケーションズのOCNモバイルONEです。
将来的な安定性というなら、ドコモ系MVNOでありながら、ソフトバンクという後ろ盾を獲得したLINEモバイルも逆にその伸びしろから考えると期待できるかもしれません。
このどちらを選ぶかは、使い方や性格や印象などによって人それぞれですが、選択としては間違いないMVNOであるといえます。
ただ、そんな優れた格安SIMを選択しても、内容を知らずして利用開始してしまうと、それこそ失敗のもととなります。
何ができて何ができないのか、まずは詳細なポイントを理解するところから始めてみてはいかがでしょうか。
関連記事:「OCNモバイルONEがMVNO最強な理由」「LINEモバイルのメリットデメリット詳細まとめ」
実際に格安SIMに変更した人が不満だったのはここ!
普段から友人や親戚からドコモや格安SIMのことについて聞かれることが多いのですが、先日ある親戚が、auから格安SIMに実際に変更をしました。
その親戚の利用状況から判断し、OCNモバイルONEを勧め、実際にその親戚はOCNモバイルONEを契約しました。
番号そのままでの、MNP転出・転入でした。
選択した機種はarrows M04。今までXperiaを利用していた人だったので、とにかく防水がないのがNGで、なおかつ海外メーカーより国内メーカーがいい、という希望によってarrowsをお勧めしたわけです。
個人的には、申し込みして開通して利用するだけなので、特に問題はないだろうと思っていたのですが、「らくらくナンバーポータビリティ」が開始される前だったためか、実際の移行にかなり手間取ったらしく、数日電話が利用できなかった、ということでした。
これは、実際にやってみると予想もしていなかったところでトラブルが発生することもある、といういい例だったと思います。
さらに、ようやく電話もインターネットも利用できるようになったまではよかったのですが、新しく購入したarrows M04が、今までのXperiaと比べるとかなり性能が低く感じたらしく、「やっぱり格安は格安だね・・・」と言われてしまいました。
個人的にはarrows M04は決して悪い端末ではないと思っていたので、感じ方はやはり人それぞれだなぁと思い知りました。
ただ、料金は確実に今まで以上に安くなったということなので、そもそもの目的が料金を安くしたい、ということだったので、使い勝手の不満は我慢して利用していたようです。
しかしこの親戚がつい最近、どうやらarrows M04に故障が発生してしまったらしく、「代替機も出ないしやはり格安スマホは不便!」と改めて言い切られていました。
これから格安スマホ/格安SIMを利用したいと考えるのであれば、そういう状況まである程度想像した上で、自分は本当にそんな環境に耐えられるのか、チャレンジできるのかを、何パターンも想像しておいた方がいいと思います。
できる限り不満を感じることのないように、後悔しないように、選択していきましょう。