たまにはコラム的なネタについて書いてみます。
「ドコモのmova(ムーバ)を知っている」、という話をすると、わかる人には「あ、この人はある程度以上の年齢だな」と歳を推測されてしまったりします。おそらく35~40歳よりも上の年齢ではないでしょうか。
それも無理もないことで、movaがメインで利用されていた頃からすると、干支を一回りする以上の年数が既に経過しています。
第3世代(3G)のFOMA(フォーマ)に完全移行するまで、「mova? FOMA?」とドコモの携帯電話の話をするときにはかなりの頻度で両ワードは利用されていたため、当時ドコモのケータイを利用していた人の多くは、movaとFOMAというワードについては意外と覚えている人が多いと思われます。
しかし一方で、現在FOMAのさらに先、第3.9~4世代(4G)としてのXi(クロッシィ)については、ほとんどの人が口にしないどころか最近は表記すら頑張って探さなければ見当たらなくなっており、そもそもドコモユーザーがXiを認識しているかも怪しい、ということに思い至りました。
ということで、私はドコモ利用中の知人にズバリ、「Xiって知っていますか?」と質問をしてみました。
すると、予想通り「何それ?」という人がかなりの割合で存在し、むしろ詳しく知っている人の方が少数派でした。
それほどXiの知名度が低い原因は何なのか、そもそもXiとは何なのか、改めてみていきます。
目次
2010年スタートのドコモのXi(クロッシィ)
2010年12月24日、サービス提供が開始されたドコモのXi(クロッシィ)は、当初データ端末のみで運用が開始され、スマートフォンとしては翌年の冬に発売されたGalaxy S2LTE SC-03Dが、ドコモ初のXi対応スマートフォンとなりました。
同冬モデルとして、ARROWS X LTE F-05D、Optimus LTE L-01D、MEDIAS LTE N-04Dの3機種を合わせた合計4機種がXi対応スマートフォンとして発売されています。
この頃はまだ、今と比べれば「初のXi対応スマートフォン」などと盛んにPRされていたため、「Xi」について耳にしたり目にしたりすることは多かったと思います。
それ以降、スマートフォンは一気にFOMA対応からXi対応に切り替わっていくのですが、その一定期間、FOMA対応スマートフォンとXi対応スマートフォンが共存していたため、「FOMA」と「Xi」を差別化する必要があったことで、Xiの名前が当時はまだよく使われていたのだと思います。
movaとFOMAは同じフィーチャーフォン(ガラケー)だった
そもそもドコモのケータイ初期、movaとFOMAという用語がよく利用されていた背景には、mova対応端末もFOMA対応端末も、どちらも同じフィーチャーフォン(ガラケー)である、という状況が影響していたのではないかと思われます。
同じガラケーなので、3Gに対応した最新ガラケーなのか、一世代前のガラケーなのか、movaとFOMAという用語で区別する必要性があり、積極的に利用されていたわけです。
当時私がドコモショップに足を運んで機種購入を検討していた際、一体どの機種を選べばいいのかまったくわからず、店員さんに話を聞いた記憶があります。
その中でそのスタッフの方は「movaとFOMAがありまして・・・」と何もわからない私に説明してくれました。しかしそう説明されても全く意味がわからず、結局理解できたのは「FOMAの方が最新」という内容だけで、最新でなくても最低限電話さえできればいいと考えていた当時の私は、movaのケータイを選択しました。
しかし、そんな素人に対してさえも、「movaか、FOMAか」の選択は降ってくる状況にあったのですから、その当時ドコモでケータイを購入していた人の多くは、必ず「mova/FOMA」という言葉を耳にしていたはずです。
スマホはすべてXiへ・消えゆくFOMA端末
一方で現在のXi。
時代は流れ、現在ドコモで販売されているスマートフォンはすべてXi対応でありFOMA対応のフィーチャーフォンおよびスマートフォンはもはや販売分としては存在しません。
もちろんまだ昔のままFOMAのフィーチャーフォンやスマホを利用している人はいるかもしれませんが、かなりの少数派になってきているのではないかと思われます。そのため、スマートフォンについて、XiかFOMAかを問う必要性は現在ほとんどなくなってしまいました。
FOMA時代のメイン端末だったフィーチャーフォンも、今現在発売されている機種はすべてLTE対応で、FOMAプランが利用できないなど、過去機種を除いて完全にXiへの移行が進みつつあります。
こうした背景によって、昔「movaか、FOMAか」と二者択一を迫られたように、「FOMAか、Xiか」という選択を迫られることはもはやないのです。
よって、「Xi」は存在しながらもその存在を空気のように感じさせないものになってしまっています。
事実、ドコモの公式カタログの機種紹介ページには、以前は「Xi」対応機種には「Xi」という表記が必ずあったのに、現在は一切「Xi」の文字を見つけることができません。
以前は、機種名の横あたりに、「Xi」という表記があったのですが・・・。もはや説明するまでもない、ということでしょうか。
ちなみにこの傾向は徹底されており、ドコモの公式サイトの製品紹介ページでも、一語も「Xi」という単語を見つけることができません。
ドコモは「Xi」という用語を闇に葬ろうとしているのでしょうか。。。
「Xi」ではなく「LTE/4G」が使われている
もう一つ、Xiが使われなくなっている一つの理由として、Xiとほぼ近い意味合いで利用されている「LTE」というワードがあることも影響していると思われます。
LTEとは、Long Term Evolutionの略で、基本的には第3.9世代を指し、もう少し広い意味で「LTE-Advanced」のことを含んで第4世代(4G)のことを指します。
そして悪いことに、Xiという言葉よりも、LTE/4Gと表現した方が、ドコモだけでなくau・ソフトバンクなど他社とも共有できるワードになるため、汎用性が高いのです。
そのためドコモも、「Xi」を積極的に利用することをやめ、LTE/4Gに移行しているのかもしれません。
わざわざ他社ユーザーに通用しない「Xi対応スマホ」という言い方をするよりも、「LTE/4G対応スマホ」と言った方が多くの人に伝わるのです。
Xiの肩身はますます狭くなるばかりです。
料金プランからも消えた「Xi」
現在ドコモのメインプランとして設定されているのは、カケホーダイ&パケあえるの「カケホーダイプラン」、データ専用プランとしては「データプラン」があります。
これも一昔前までのプランでは、「タイプXiにねん」「Xiデータプラン」なるものがあり、しっかり「Xi」というワードが利用されていたのです。
しかしカケホーダイ&パケあえるが開始されて以降、「Xi」の文言はプランから消えました。
これはもはや、どこにも「Xi」を見つけだすことができないのではないか、誰も「Xi」というワードが存在していたことなんて、忘れてしまっているのではないか。そんな不安がよぎりました。ただ、いろいろと探した結果、一部「Xi」が使われている部分も、まださすがに存在しました。
それは、「機種変更」についての記述がある部分です。
FOMA→FOMA/FOMA→Xi/Xi→Xi/Xi→FOMA
現在機種変更には、四つのパターンがあります。
すなわち、FOMAからFOMAへの機種変更、XiからXiへの機種変更、FOMAからXiへの契約変更、そして一般的ではありませんが、XiからFOMAへの逆の契約変更です。
FOMA機種が事実上存在しないことを考えると、FOMAからFOMAも実際は存在しないも同じことですが、唯一現在ではキッズケータイにおいてのみ適用されます。
現在まだドコモの契約において存在している「FOMA契約」を、「Xi契約」にする際の契約変更、この場面ではXiは差別化を図る必要があるため必ず利用されます。
まだまだXiの利用シーンは存在したのだ、とほっとしました。
5Gが登場してくれば「Xi」の存在感が高まる・・・はず
既にドコモでは、4Gの次の世代の5Gがについて様々なテストが行われているようです。
4Gよりもさらに大容量のデータを送受信することができ
る時代となり、以前のような低速通信はもはや過去の遺物となっていくのかもしれません。
そんな最新通信規格である5Gを採用したスマートフォンなどが登場してくれば、これまでの流れからmova→FOMA→Xiに続く、まったく新しいブランドがドコモより登場してくる可能性は高いと考えられます。
そうなると、今度はXiから5Gへの移行期間が始まる形となるため、相対的に「Xi」というワードの存在感は一気に高まるものと思われます。ただしその場合のXiは、過ぎ去りし過去のブランドとしての意味合いとなってしまうのですが・・・。
なんだか色々切なくなってしまうような「Xi」の現在の状況ですが、とはいえ現時点で最新かつドコモユーザーのほとんどの方が利用しているサービスブランドでもあるわけです。
とりあえず「クロッシィ」という読みと、そしてその存在くらいは、せめてドコモユーザーであれば認識しておいていただければと、切に願うところです。